時間はあっという間に過ぎた。秋が来て、冬になって。

ある日のこと。たまたま双熾と一緒に居たとき、「喋るな」との張り紙を見つけた。
こんなことをしそうなのは残夏……いやでも、この字は残夏じゃない。


「変なことするのね」
「喋ってもよろしいのですか?」
「喋った瞬間危害が加えられたらどうするの。こういうのは私が試さないとね」
「……」
「……? 双熾、怒ってる?」
「いえ、そんな」
「……怒ってるわね」


双熾はよく分からないところで怒る。まあ大方、自分を実験台にしたとかなんかだろう。
そういうのは私の性分なので、仕方ないのだが。


「ただ……華火さまに、僕の気持ちが通じていないのかと思いまして」
「は? 気持ち?」
「華火さまが実験台になるくらいなら僕がなります。華火さまを危険にさらすわけには参りません」
「……でも、私SSだし」
「……」
「……無言で見つめるのやめてちょうだい」
「……」
「だからその目をやめてって……双熾」
「……」
「……っ、もう、分かったわよ、悪かったわね!」
「分かって頂けたなら光栄です」
「よく言うわ……」


双熾は相変わらず強い。というか、頑固だ。







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Wisteria
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