「おかえりなさーい、あんど、妖館へようこそ」
「な…?」


ぱん、とクラッカーの音が鳴る。
ようこそ、と付け足すように言えば、凜々蝶はおろか、双熾ですら珍しく目を瞬いた。


「うふふ、驚いた?」
「何だこれは…」
「歓迎会よ」
「遅くなってごめんなさい…。なかなか見つからなくて…これ…お祝いっぽいかなって…」
「うん、それクリスマス会だな」


カルタが差し出したのは、七面鳥の丸焼き。
そりゃあ見つからないだろう。カルタはどこまで行ったんだ。


「僕は結構…」
「って言うと思ったけど、双熾の歓迎会でもあるんだぜ?」
「!」
「僕はただのSSですから、歓迎を受けるのは烏滸がましいのでは…」
「いんだよ、黙って受けとけよ。華火も言ってたんだぜ」
「華火さまも……?」
「! いや、私は……」


ぱっとこちらに向いた双熾の視線が、微妙にうれしそうな気がして。
さっきとは違う理由で気まずくて、そっぽを向く。


「本当ですか、華火様」
「……まあ、凜々蝶の歓迎はしたかったしね。……あと、」


恥ずかしい、けど。
いつまでもあのままじゃ、だめだと思うから。


「妖館にようこそ。……双熾」
「!」
「この間は……ごめんなさい。言い過ぎたわ」
「いえ、僕の方こそ……。華火さま」
「なあに?」
「ありがとうございます」


ありがとう、なんて私が言われることじゃない。
それでもお礼は甘んじて受けるべきだ。


「さて、後は凜々蝶が受け入れればいいんだけど」
「……ふん、まあ無駄にするのも材料が勿体ないしな」
「お」
「ふふ、素直じゃないこと」
「き、君に言われたくはない」
「あら」


私は凜々蝶よりは、素直だと思うけど。
まあ今はそんなことはいい。
今は凜々蝶と、双熾の歓迎だ。
差し出した手のひらに、凜々蝶の手が乗る。
改めて笑顔を向ければ、凜々蝶もわずかに笑った。









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