「――こうして、赤い目をした化け物は、陰陽師に退治されたのでした。めでたし、めでたし」
昔の話だ。私がまだ、五つになるかならないかくらいの幼かった頃。
母様はよく、私に本を読んでくれた。
牛若丸と弁慶の話や、月から降りてきた姫君の話。お伽噺から史実まで、種類を問わず様々な本があったけれど、中でも私が好きだったのは、陰陽師が活躍する物語だった。
人々を怖がらせる化け物が、勇敢な陰陽師達によって成敗されるような、分かりやすい勧善懲悪の昔話。
瞳を輝かせて何度も続きをねだる私に、母様は時折苦笑しながらも断ることはなく。
「ふふ、珀姫は本当にこの話が大好きね」
「だって、おんみょうじってとうさまやにいさまのことなのでしょう?」
「ええ、そうよ。皆、誰かを護るために戦っているのよ」
「すてき……! ねえかあさま、わたしもいつかおんみょうじになれるかなあ」
その言葉に、母様が何と答えたのだったか。
今ではもう、覚えていない。
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