は、はぁ、はぁ。自分の荒い息づかいだけが聞こえる。
前も後ろも右も左も、見渡す限りの銀世界。降る雪はやむことを知らず、勢いを増すばかり。
突発的に出てきたものだから路銀も食料もろくにない。空腹の感覚などどこかへ行き、腹の虫は仕事を放棄した。
雪水のしみこんだ足袋はとうに破けてしまい、そこから真っ赤な足の指が覗く。
整えたはずの髪の毛だってもう乱れ放題で、顔に被さる邪魔なそれを拭った手の感覚はない。
寒い。痛い。辛い。
でも、だけど、私は進まなければならない。
それがきっと、私の生まれてきた意味なのだから。
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Wisteria
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