周囲は騒がしい。人声だけでなく、ボールの音やバッシュの音が多い。
会場には誠凛高校と新協学園だけでなく、他の学校も集まっているからだ。


「てか、お父さんいなくね?」
「そういえば」
「すみません、遅れましたー……アイテ」


がん、と鈍い音がする。
振り返った先に見えたのは。


「日本低イ、ナんデも…」


身長200p、セネガル人のお父さんだ。
お、大きい。背が高い。こんな人久しぶりに見た。
高校生にしてこの身長。流石外国人だ。


「あ、そういえば海常に勝ったってマジ?」
「いや…練習試合でっスけど」
「…なんだー。思ったよか大したことないんだ」
「カイジョー?」
「「キセキの世代」入ったとこ! 教えたろ!」


大したことが、ない。


「キセキノセダイ…負け…? キセキノセダイに勝ツため呼バれタのに、ソんなガッカリダよ、弱くて…」


弱い。
そう、言ったのか。

ドン、と兄さんがお父さんとぶつかって。
彼はきょろきょろと辺りを見回したのち、ひょいと兄さんを持ち上げた。


「ダーメですヨボク―。子供がコート入っちゃあ」
「どっから連れて来…バッ…! そりゃ相手選手だよ」
「センシュ…!?」


兄さんのシャツの裾から、ちらりと見えた誠凛のユニフォーム。
それを見て、お父さんは呆れた顔をした。


「あんな子供いルチームに負け? キセキノセダイてミんな子供?」
「ハハッ、かもな!」


……。
兄さんは子供ではない。キセキの世代も弱くない。
いら、としたのは私だけではないようで。


「正直…色々イラッときました」
「何気に負けず嫌いなトコあるよな、オマエ。んじゃまあ…子供を怒らせるとけっこー怖いってコト、お父さん達に教えてやるか!」






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