それからの二日間、火神君は勉強漬けだった。
休み時間も暗記カードをめくっている。死にそうな顔で。
「大丈夫ですか」
「……死ぬ…!」
「火神ー。次は図書室でやるぞー」
「…うーす」
大変だなあ。
他人事のように眺めてしまう。私も気合を入れなきゃなんだけど。
「マジで死にそーだけど、なぜか昨日黄瀬からメールきた」
「あ、ボクが教えました。メアド」
「勝手に教えんなよ!! …ちなみに黄瀬と緑間って勉強できんのか?」
「緑間君はすごいですよ。トップクラスです」
「黄瀬君はイマイチです」
「……」
懐かしいな。帝光の頃は皆で集まって勉強をしていたものだ。
キセキの世代の五人と、兄さん。それとマネージャーも加えて。
「まあ、そのメールが…」
向けられた携帯の画面を見る。
海常高校がインターハイ出場が決まった、とあった。
「決勝リーグ勝たなきゃインターハイには行けねー。勝ってもバカじゃインターハイでは勝てねー。「キセキの世代」倒して日本一になるっつったのに、こんなことでつまずけるか!」
「…火神君。もしどうしてもダメだったらこれを」
「…これは?」
兄さんが取り出したのは鉛筆。上の部分が削られて、数字が書いてある。
これ、見たことある。確か……。
「緑間君が昔くれた最後の手段。湯島天神の鉛筆で作ったコロコロ鉛筆です」
「いるかっ!!」
「……持っておいた方がいいですよ。お守り代わりに」
「コロコロ鉛筆が?」
「はい、ぜひ」
火神君がはじき落とした鉛筆を拾って、差し出す。
緑間君の人事は本当にすごいのだから。きっと何とかなるだろう。
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