放ったボールが、リングにあたってはじかれる。


「おらぁ!!」
「……!!」
「っしゃコラどっっ……せーい!!」


勢いよく放られたボールが、コートを盾に一気に突っ切る。
それを今吉さんがキャッチして、ダブルクラッチを決めた。


「おおかた、青峰が遅れるて聞いて、できるだけ点差つけようとか思ってたんちゃう。まあ、スマン。こっちの言い方が悪かったわ。前座言うても、青峰と比べてっちゅー話や。キミらよりは強いで、たぶん」


第1Q始まって、まだ四分。
それなのに、桐皇との点差は開きつつあった。


「マネージャー、スコア表持ってる?」
「はい、こちらに」
「さんきゅ。うお!? やっぱり?」


小金井先輩にスコア表を渡す。彼は驚いた声を上げた。


「どうしたんですか?」
「予選トーナメントの桐皇のスコア、108対91、151対72、131対81」
「スゲェ、全部100点ゲーム!?」
「そ。つまり正邦とは真逆のチーム。超攻撃型よ」


桐皇は強い。ここまで進んできたのだから、なめていたわけじゃない。
それでもやはり、実物を見ると実感する。

跳んだと同時に放つ3P。それが外れれば、即座に他の人がフォローに入る。
けれど味方のケアは最小限。とにかく1対1で戦っているようだ。
ひたすらに、個人技のチーム。


「なるほどね。ある程度予想してたけどやっぱり…そーゆースタイルすか」
「…せや。ウチのチームは全国から選手を集めとる。一人一人実力はある分、我が強くクセもある。ここ数年、色々試したんやけどな、お手手つないで仲良うやるより、このやり方が一番しっくりくるわ。お互い同じ攻撃型チーム、面白くなりそうや」
「面白いかどうかはともかく……同じってのはどうかな? 誠凛のスタイルはあくまで、全員一丸の攻撃なんで」


伊月先輩が今吉さんを抜く。
振り返った今吉さんを、今度は火神君がガードした。
パスは日向先輩へ。きれいに3Pを決める。


「試合にまで負ける気はねーぞ。主将にもそう言っとけ謝りキノコ」
「ええ!? スイマセン!」


日向先輩の口が悪い。謝りキノコってなんだ。独特なネーミングセンス。


「ははは、何言ったか聞こえんかったけど、なんか伝わったわ、プレーで…な!!」


今吉さんがロングパスを出す。先頭の6番にボールが行く。


「個人技重視と連携重視、どっちが上か決めよか」
「あと…全員一丸とは言ったけど、よく忘れられる奴がいるんすよ」


兄さんが飛び出した。ジャンプしてボールをとろう、とするが、低くて届いていない。


「ったく、慣れねーことすっからだアホ!」
「高っか…!!」


兄さんに代わって火神君が、高く飛んでボールをキャッチした。
伊月先輩へとボールが渡る。


「んだあのショボいジャンプ。とれねーなら跳ぶな!」
「とれました」
「うそつけ!! そもそもらしくねーぞ。もしかしてオマエのいた帝光とオーバーラップしてんじゃねーだろな? 今の相手は桐皇学園だぞ、寝てんのか!」


火神君の言葉に、兄さんがわずかに笑った。


「でもとれました」
「うそつけ!!!」


雰囲気はいい。ゲームの流れも持ってかれてはいない。
だけど。私は桐皇のベンチをちらりとのぞいた。
そこに見える、桃色の髪。
桐皇学園にはまだ、さつきちゃんがいる。








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