伊月先輩がボールをスティールする。
火神君にボールが渡り、彼が3Pラインから投げる。


「3P!? いや…あれは…」


火神君がゴールに向かって走る。一人アリウープ。以前彼が見せた技。


「知ってますよー、そう来ると思ってたから。単純なんだから、ホント男の子って」


彼の前に、桐皇の7番がマークにつく。
他のメンバーもがっちり抑えられて、火神君のシュートは外れ、敵にボールが渡る。

今の動きはまるで、火神君の行動を読んでいたかのよう。
つまり、さつきちゃんの力だ。


「研究されてるわね。おそらく桃井に」
「……さつきちゃんは情報収集のスペシャリストです。昔から、あの形でチームに貢献してきました」


誰にも真似できない才能。
それを持つのは、キセキの世代だけではない。

水戸部先輩がフックシュートをしようとして、防がれる。完全に読まれている。


「まずくないすか!? なんか手を打たないと…」
「…必要ないわ! このまま行くわよ!」
「え!?」
「いくら正確な情報を持っていたとしても、それは過去のものでしょ。人間は成長するのよ。そんな常識も知らないで、知ったかぶってんじゃないわよ!」


日向先輩が、3Pを出す構えをとる。
けれどこれはひっかけ。秀徳戦の後ひたすらドリブル練習をしていたのを見ている。
これは初めての試みだ。普通ならそれを読めるはずない。

なのに。


「知ってますよー。そうなると思ってたから」
「!!」


桜井君がまるで読んでいたかのように、先輩の進路をふさぐ。

どうやってるの、と以前聞いたことがある。
その時彼女は、こう答えた。

『その人の身長・体重・長所・短所・性格・クセ…。全部集めて分析・解析・絞り込み…。最後の秘訣は、女のカンよ』

つくづく恐ろしい力だ。敵に回ると厄介すぎる。
日向先輩が伊月先輩にボールを渡す。残り五秒だ。


「そんぐらいやってくると思ったわ。甘いぞ小娘!」


日向先輩が再びドリブル体制に入る。
さっきと同じなら抜けるはずはない。だけど。


「「このままで行く」って言った理由はもう一つあるわ。もっと単純な…つまりそれは、女のカンよ!」


兄さんが、桜井君の後ろについた。


「彼は女のカンでも、次何するかわからない!」


日向先輩が火神君にパスを回し、ダンクが決まる。
誠凛ゴールだ。


「っしゃー火神!!」
「つか、さすがいい仕事するぜ黒子!」


兄さんの動きは、さつきちゃんですら読むのが難しい。
一安心した時、火神君にふと目を向ける。
彼がわずかに、息をのんだ。







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