青峰君と火神君が対峙する。
火神君を避けて、青峰君がゴールと真逆の方へ飛んだ。
そんな体勢、普通ならシュートなんてできない。
けれど青峰君が投げたボールは、見事にシュートとなった。
「なんだ今のシュート!?」
「ジャンプシュート…じゃなくて…フック…!?」
ボールを投げているだけに見えるのに、見事に入る。やっぱり青峰君の才能は別格だ。
さつきちゃんによると、青峰君は物心つく前からバスケをし、ストリートでプレイしてきたという。
その中で培われた、ボールのハンドリングやスピード、自由自在のバスケスタイル。
型がない彼の動きは無限。ゆえにDF不可能。
青峰君が「キセキの世代」と言われるゆえんだ。
青峰君が日向先輩を抜く。変則のチェンジオブペースだ。
火神君が青峰君の前にとんだ。高い。
「止めてくれ、火神〜〜!!」
「あー、はいはい。確かに高ーよ、大したモンだ。けどもう飽きたわ」
上半身が殆ど仰向けの状態で、青峰君がシュートを打つ。
彼のシュートは型がない。いつも打つ体制や打ったカーブがバラバラだ。
なのに、落ちない。
青峰君は何をしてくるか、本当にわからない。
火神君がボールを持った。すぐに青峰君が追いかけてくる。
その前に跳んでしまおうとして、ボールは青峰君にはじかれた。
「!?」
「わりーな、ノロすぎて…ついとっちまったわ」
「待てコラ…っっ」
火神君が青峰君を追いかける。
速い、のに。追いつけない。ドリブルしているのに。
「うおぁああああ!!」
火神君が青峰君にぶつかった。青峰君の体勢が崩れる。
瞬間、ファウルの笛が鳴って。青峰君は後ろ手で、ボールを投げてシュートした。
「オイオイ、こんなもんか。そーじゃねーだろ、テメーらのバスケは。オレに勝てるのはオレだけだ、テメーだけじゃ抗えねーよ」
誠凛のバスケは、光と影がそろって成立する。
点差は二十。もうそろそろ、覚悟を決めないといけない。
「出て来いよ、…テツ!!」
「黒子君…」
「大丈夫です、もう十分休めました。行ってきます」
「決着つけようぜ。見せてみろよ、新しい光と影の底力をよ」
『誠凛、メンバーチェンジです』
兄さんがシャツを脱いで、ユニフォーム姿になる。交代だ。
「…黒子」
「…わりぃ、オレ一人じゃ想像以上にしんどい…わ」
「すいません、イミが分からないんですけど。なんで謝るんですか?」
「あ!?」
「最初から一緒に戦うつもりだったじゃないですか。そんな簡単に勝てたら苦労はないです」
「っせーな、わってるよ! 行くぞ!」
ついに兄さんと、青峰君の対決だ。ごく、と息をのんだ。
兄さんの手元にボールが渡り、それをパスする。只のパスじゃない、秀徳戦で見せた超長距離パスだ。
ボールは一気に火神君へ。けれど青峰君も追いつくのが早い。
「知ってるよ、追いついてくるんだろ? ムカつくけど…」
火神君は日向先輩の方へ、ボールを投げた。
「おっっ!?」
「どうした火神ー? ずいぶんとナイスパスじゃねーか!」
「決めてくださーい! キャプテンー!!」
日向先輩がシュートを決める。
「〜〜っきったぁー!!! 後半ついに、初・得・点!!」
「つか祈ってんじゃねーぞ一年! オレが撃つ時は称える準備だけしとけや…!」
怖い。クラッチタイムだ。そっと目をそらした。
でも先輩もすごい。完璧なフォーム、撃った瞬間に入るのが分かるほど。
桐皇の選手が今吉さんにパスを出す。それを兄さんがカットして、ボールは水戸部先輩へ。ゴールだ。
「うおお、連続ゴール!! やっぱ黒子いると違うぜ!!」
「ナイス!」
兄さんが入ったことで、ゴールがどんどん決まっていく。
流石兄さんだ。
その時、青峰君が兄さんに声をかけた。
「相変わらずだな、テツ…。中学の時とホント変わってねーわ、全然…。…マジ、ガッカリだわ」
「……!」
「まだそれで勝つつもりかよ? オレに」
「……そのつもりです。これがボクのバスケです」
伊月先輩から兄さんへのパス。
兄さんがイグナイトパスの構えをとった。
「悪ーな、テツのパスは全部知ってる。ミスディレクションのタネもな。何より、オマエのパスを一番とってきたのは誰だと思ってんだよ?」
兄さんが打ったパス。それを、
「オマエのパスは、通さねぇよ」
青峰君が、取った。
「なっ!?」
「そんな…!!」
高尾君でも取れなかった。けれどよく考えてみれば、当然かもしれない。
だって青峰君は兄さんの相棒だった。他の誰よりパスをとっていた。
経験値が違う。
青峰君が伊月先輩を抜く。そして日向先輩を抜き、水戸部先輩まで抜いた。
「マジかよ3人抜き!?」
「まさか一人で…」
火神君と兄さんが、ゴールの前に立ちはだかる。
「止めてくれ、火神・黒子!!」
ごっ、と音を立てて、青峰君がダンクを決めた。
兄さんたちが後ろへ倒れこむ。
チームメンバーが、全員抜かれてしまった。
「悲しいぜ…。最後の全中から、オマエは何も変わってない。同じってことは成長してねえってことじゃねぇか。やっぱ結局赤司が言った通りかよ…」
「!」
赤司君。その名前を、久しぶりに聞いて。
思わず体が固まった。
「黒子のバスケじゃ、勝てねえよ」
青峰君が言い放つ。冷たく鋭い声だった。
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