「今…なんて?」
「マジで?」
「ユニフォームを賭けて…火神と木吉センパイが、1対1!?」
「……。いいすけど…ブランク相当あるんすよね? 手加減とかできねぇすよ」
「モチロンだ。本気で頼むぜ」
火神君と木吉先輩の勝負が、始まった。
木吉先輩は背が高いのに、動きがとにかく早い。見ている部員からも歓声が上がる。
けれどジャンプ力は、火神君にはかなわない。
木吉先輩の放ったボールが、火神君に叩き落される。
「すげぇっ…!!」
「どっちも譲らない…互角…!?」
一見すると互角に見える。けれど押しているのはやはりというか、火神君の方だ。
「フウ…。想像以上にしんどいな」
木吉先輩が汗をぬぐう。
ボールを持った火神君と対峙するも、彼は一気に抜いた。
木吉先輩の反応が遅れる。が、彼も負けじと火神君の前に跳ぶ。
火神君は空中で回転し、木吉先輩を抜くと同時にダンクを決めた。
「何!?」
「すげえっっ!! あそこで裏からダンク!?」
「火神の…勝ちだ!!」
「……ふぃー」
木吉先輩が息を吐いて、ふっと笑った。
「参った! オレの負けだ。約束通り、スタメンはキミだ」
「…ウス。じゃあ、オレ先上がります。おつかれす」
火神君が体育館を出て行く。
それを合図にしたように、先輩達が騒ぎ出した。
「何考えてんだよ木吉!!」
「いやー、強いなアイツ」
「じゃなくて!! アンタ外れてどーすんのよ!?」
「しょうがねぇだろ。ブランクなんて言い訳になんねーし、これが実力だ」
「「実力だ」じゃねーよ、ボケすぎだ、足元見ろ!」
足元?
私もつられて、木吉先輩の足元に目を向ける。
……あ。
「練習中からなんか変だと思ったんだよ。お前ソレ上履きじゃねーか、ダァホ!」
「えええ!?」
上履きでプレイなんて、そりゃあ動きづらいだろう。
ということは、だ。
「ったく…まさかわざと負けたんじゃねーだろーな」
「…いっけね!」
「素かい!!」
「っもう!」
木吉先輩の実力は、さっき見たもの以上なのかもしれない。
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