響くバッシュの音。刺さる視線。緊張感が、場を包む。


「都ベスト4だかなんだか知らねーが…ナメたことしてくれんじゃねーか」
「なあ降旗…。オレ達一年だって、そりゃあ試合に出たいさ。ユニフォームも一応もらってるし」
「…ああ」
「けどこれはさ? いきなりすぎるよな?」


にらみを利かせる相手のチーム。青ざめるチームメンバー。
その理由は。


「スタメン全員一年とはな!」
「カチンと来たぜマジ」
「ボロカスに負かして追い返すぞ!!」
「オウ!!」


兄さんと火神君はともかく、他の三人は試合慣れしてない。
大丈夫かな。不安だ。

なんでこんなことになったのかと言えば。















「明日から3日連続、練習試合を組んだわ」


練習後、監督はそう告げた。


「練習試合? 夏休み直前になんでまた…?」
「今のみんなの課題をより明確にするためにね! そして夏休みは楽しくみっちり猛練習ってワケよ」


監督の笑顔が輝いている。南無、と手を合わせた。


「だから今回は試合に勝つ! だけじゃなくて、考えてプレイすることを意識してね!」
「オウ!!!」
「なあリコ、一つ頼みがあんだけど」
「…え?」








言い出したのは、木吉先輩だった。


「カントクこれ…どーゆーつもり?」
「あいつがどーしてもね、一年生の試合も見たいって…」
「鉄平! なんだよ一体?」
「ん〜?」
「んーにゃ、オレわかったよ!」


そう言ったのは、小金井先輩だ。


「この試合たぶん負けるでしょ?」
「は!?」
「最近火神はプレイが自己中になってる。けどそれじゃ勝てない。だからわざと負けさせて、一人が強いだけじゃ勝てないことを教えるつもりっしょ?」


なるほど。そういうことか。
一年生スタメンなんてどういう考えかと思ったけど、それなら納得できる。


「…黒子。もうオレにパスはしなくていい」
「…え?」


聞こえてきた火神君の声。まさか、本当に一人でバスケをするつもりなんだろうか。


「ああ…なるほど! すげーなコガ」
「あれっ!?」


木吉先輩の声に、ふっと視線をそちらに向けなおす。
どうやら小金井先輩の考えは外れていたようだ。


「えっ…いや、だってさ…」
「まあ…なくはないけど…。火神ってさ…そーゆーの、言われなきゃ気づかないほど、バカなのかな?」
「えっ、うーん…」
「迷いや悩みは感じなかったけどな、オレには…。むしろ何かに気づいてほしいとしたら、黒子君の方だよ」
「兄さんの……?」


試合が始まる。
火神君が走って、跳んで。高いジャンプに相手のチームはついていけていない。
兄さんがパスを出して、他の一年生がシュートする。意外とついていけているようだ。
兄さんの動きだって決して悪くない。
にもかかわらず、スコアはあんまり伸びていない。

これは……。







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