翌日の早朝。
監督と同室になった私は、できるだけ監督を起こさないよう静かに起き上がり、準備をする。
顔を洗って歯を磨いて、着替えて髪の毛を整えて。
タオルが乾いているか確認して、今日の分のドリンクを作っておいて。練習メニューの整理もして。
それから朝ごはんも作っておく。おかみさんが厨房を好きにしていいと言ってくれたので。
一通り作業を終えて、ふと時計を見る。そろそろ皆が起きる時間だ。
するとぱたぱたと足音がして、先輩達が食堂に姿を現した。
「千瀬ちゃん、準備できたー?」
「はい。おはようございます、監督」
「お、今日はマネージャーごはんか。やった」
「メニュー何?」
「ごはんと目玉焼き、みそ汁とサラダとウインナーです」
「ごはん多めに炊いといてくれた?」
「はい」
「あれ、火神君と黒子君は?」
「まだ部屋にいましたー」
「連れてこんか!」
「あ、私行ってきます」
「じゃあ私配膳するわね!」
「い!? ちょ、ちょっと待ったカントク、よそうのはオレらで……」
皆の声を聴きながら、食堂を後にする。
兄さんは起きてすぐ歯磨きをするから、多分部屋に近い手洗い場にいると思うんだけど。
近づいていくと、沢山の声が聞こえてきた。
「なぜここにいるのだよっっ!?」
「こっちのセリフだよ!!」
「秀徳は昔からここで一軍の調整合宿すんのが伝統なんだとー。久しぶりー」
「お久しぶりです」
「それがお前らはバカンスとはいい身分なのだよ…!!」
「バカンスじゃねーよッ!!」
この口調。どこかで聞いたことがある声。
角を曲がった先に見えたのは、まさかの。
「緑間君、と……高尾君……?」
「千瀬」
「な! 何故お前もいるのだ妹の方の黒子!!」
「お、久しぶりー」
「ご無沙汰しております。何故と言われても……えっと、マネージャーなので……」
秀徳高校の面々もいたのか。わからなかった。
ぺこりと頭を下げて、兄さんたちの方に目を向ける。
「兄さん、火神君。ごはんの時間です。食堂に皆さん集まってるので、急いできてくださいね」
「わかりました」
「おう」
「それじゃ、失礼しますね」
それだけ言って、その場を後にする。
あの二人本当に仲いいんだな、と思った。
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