「ホラ」
先輩が盛り付けてくれたご飯は、まるで山のようだった。
「あの…センパイこれ…」
「食うのも練習だ。最低3杯は食えよメシ」
「3ッッ!?」
「食えねーよ〜、朝からこんなに…吐きそ…」
「つか正直こーゆー時ちょっとズルくね? ウチセンパイ達より上いないし…」
「え、何?」
私の前のご飯を除いて、先輩も同級生も皆山もりご飯である。監督がいい笑顔だ。
すごいな。そういえば中学校の時もやってた、食育。
「おかわり!!」
火神君は物ともしていない。すごい。
「すみません、ちょっとトイレに…」
「黒子、吐いたらもう一杯追加な」
もぐ、と作ったご飯を食べながら思う。
お米をいっぱい食べなきゃいけないんだったら、ちょっと濃いめの味付けの方が良かったかな。
目玉焼きとかサラダも少し濃いめに……いや、いっそ炊き込みご飯とかの方が……。
「ホラお前らが食えねーとか言うから作ったマネージャーが落ち込んでるじゃねえか! 謝れ!」
「えマネージャーが作ったの!?」
「うそゴメン! 食う! 食うよ!」
「あ……えっと、すみません……もっとごはん進みやすいものにすればよかったですよね」
「いやチョーうまいから! もうもりもり食べれちゃうから大丈夫!」
「女子の手作りとか最強だから!!」
必死に箸を動かす皆。優しいな、ここの人たちは。
「……千瀬」
「はい、兄さん」
「……お替り、ください」
「だ、大丈夫ですか?」
「……」
こく、と今にも吐きそうな顔をした兄さんが言う。
差し出されたお椀に同じくらいのご飯を継げば、兄さんは震える手で受け取った。
視線を感じて先輩の方を見る。日向先輩と監督が同じタイミングでぐっと親指を立てた。きらめく笑顔で。
……もしかして私に話を振ったのも、皆にごはん食べさせるためだったのかな。
「つーかまさか秀徳と合宿地カブるとはな」
「借りてる体育館も一緒だって」
「マジで!?」
「ごちそうさま。今日も9時から浜辺ね!」
「どっか行くのか?」
「んー、ちょっとね」
監督がスキップしながら出て行った。
スキップ、ということは。
「またろくでもねーこと思いついたな」
日向先輩の言葉に同意。
そしてきっと、このタイミングで思いつくことといったら、アレだろう。
とりあえず少しでも食べやすいように、皆にはおにぎり作ってあげよう。塩しかないけど。
→
back
top
ALICE+