青峰君がボールをつき、勢いよくパス、したかに見えた。
けれどそれはフェイクで、黄瀬君の左から抜こうとする。
その方向に黄瀬君が目線を向ければ、青峰君は逆側に切り返した。
「なっっ」
だが負けじと黄瀬君も食らいつく。
「すっげぇ…あの速さを…」
「止めたぁ!?」
青峰君がボールを放つ。フォームレスシュート。
それを黄瀬君は、高くジャンプして止めた。
「マジかよ…」
「今度こそ完ペキ…」
「あの青峰を…止めたぁ!!」
1対1で青峰君を止めることが、どれほどすごいことか。
今までの彼の試合を一度でも見たことがある人なら、絶対に解る。そのすごさが。
「やるじゃねーか、まさかマジで止めるとはよ」
「青峰っちと毎日1対1やって、毎日負けたのは誰だと思ってんスか。アンタのことはオレが一番よく知ってる」
「……なるほどな」
確かに黄瀬君は、青峰君とよく1対1をしていた。
ただその勝負は毎回青峰君の勝利に終わっていたはずだ。
それに何より、桐皇にはさつきちゃんがいる。
笠松さんが6番にパスを渡そうとして、ドライブ。けれど今吉さんは引っかからない。さつきちゃんのデータがあるからだ。
すると笠松さんはターンアラウンドで交す。
「…からのフェイダウェイジャンパー、やろ?」
今吉さんがボールの進行方向に手を伸ばす。
「当たり。けど関係ねぇな!」
けれどわずかに、笠松さんの方が早い。
ボールはゴールへと投げられ、しかし今吉さんのツメでも引っかかったのか、ゴールとはならず。
そのリバウンドをとり、海常の5番の人が投げた。独特なフォームだ。
『第1Q、終了です』
点数は海常が18、桐皇が13。会場の流れだ。
「まさか青峰また手ぇ抜いてたりしねぇだろうな? 海常が完全におしてるぜ」
「いえ、恐らく本気です。黄瀬君がそれを上回ってるとしか…」
けれど多分、このままでは終わらない。
青峰君がここで負けるとは、私にはどうしても考えられない。
「あと…青峰君が本気とは言いましたが、彼は尻上がりに調子を上げていく傾向があります。そして上げるとしたら、そろそろだと思います」
第2Qが始まる。
始まりは静かだった。今吉さんがシュートをしようとして、他の選手にパス。そこからのシュート。
第2Qの初得点は桐皇だ。
「落ち着け、一本! キッチリ返すぞ!」
ボールを持った笠松さんに、今吉さんが着く。
「もう速いのはわかったわ。それを踏まえて、いかせへんで! あと一つ忠告しとくわ」
黄瀬君にボールが渡る。
「誰が相手でも青峰は負けん。最強はアイツや」
黄瀬君のボールを、青峰君がはじいた。行動が読まれている。
「「オレのことは一番よく知ってる」って言ったか。逆は考えなかったか?」
青峰君が左へ、からの右への切り返し。黄瀬君が動く。
と思いきや、再び左へ。黄瀬君の重心の変化を見た上で、もう一つ切り返したのだろう。
俊敏性とスキルが、青峰君の方が上なんだ。
「くっっ」
「ファウルはよせ小堀!!」
青峰君が海常の選手からぶつかられて。そのままボールを投げ、シュートする。
「バスケットカウント! ワンスロー!!」
「うわああ決めた!」
「なんであれが入るんだー!?」
青峰君がボールを投げる。ゴール。
同点だ。第2Qは始まったばかりなのに、一気に追い上げてくる。
兄さんの言うとおり、青峰君はスロースターターなのだろう。調子が出てきたのだ。
黄瀬君がボールをとる。つ、と汗が額から流れた。
「オイオイどうした、もう終わりか?」
けれど黄瀬君には、まだ勝機がある。
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