黄瀬君がシュートしようとして、くるりと回る。さっき笠松さんが見せたターンアラウンドだ。
「残念だったな」
青峰君がボールをはじく。
「お前のマークはこのオレだぜ? あっちの腹黒メガネと一緒にすんなよ」
やはり一筋縄ではいかない。
正直言って、両チームに差はそこまでない。どちらも優秀なチームだ。
勝敗を分けるのは、きっと黄瀬君と青峰君との差。
海常高校のタイムアウトがあり、試合再開。再びの黄瀬君対青峰君だ。
そのとき、黄瀬君がボールをパスした。
「オイオイどしたぁ? もうお手上げか?」
攻める気がないのだろうか。黄瀬君が勝負を投げたとは思えないけれど。
ボールがスティールされ、攻守交代。今度は青峰君にボールが渡る。
「どっちにしろ、結果は変わん……ねえよ!!」
青峰君が黄瀬君を抜く。
あっという間にゴール目前。と思いきや、その前に居た笠松さんにぶつかった。
「チャージング、黒5番」
「なぁあファウル!? ノーカウントだ!」
今のは多分、わざとだ。何を考えているのだろう。
……でも一つだけ、確実なこと。
海常高校は、笠松さんは、黄瀬君を信じている。
その後も黄瀬君と青峰君の1対1は続き、けれど青峰君は止まらない。
黄瀬君は、一体何を考えているのだろう。
黄瀬君が青峰君に、バスケの腕が酷く劣っているとは思わない。
それでも勝てない理由。それはきっと、彼が青峰君に憧れているから。
勝ちたいと思うのと同じくらい、負けてほしくないと思っているから。
「まさか…」
「たぶん…そのまさかです」
「確かムリって言ってなかったか!?」
「はい…でもそれしか勝つ方法はありません。黄瀬君がやろうとしていることは、青峰君のスタイルのコピーです」
黄瀬君が、ふっと笑った。
「憧れるのはもう…やめる」
それは悲しくなるほど、決意に満ちた声だった。
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