「おお〜広〜〜。やっぱ運動部に力入れてるトコは違うね〜」
海常高校との練習試合の日。相手方の校舎に着き、周囲を見渡した先輩が感嘆の声を漏らす。
誠凛は新しくてきれいだけど、海常は昔ながらの強豪だけあって広い。
先輩たちの後をついていくように追っていると、ふいに小金井先輩に話しかけられた。
「マネージャー荷物重くない? 持とうか?」
「いえ、仕事なので。ありがとうございます」
「ていうか、マネージャーって黄瀬と仲良かったんだな」
「め、滅相もないです」
「そうなの? 千瀬っちって呼ばれてたじゃん」
「あ、れは……その、黄瀬君って兄のことが大好きでして。私はおまけなので」
「おまけ……」
「私と黄瀬君はただの同級生なので……仲いいとか絶対に、言わないでください」
「お、おう」
黄瀬君のことは嫌いじゃない。でも仲は良くない。
できるだけ離れていたいというか。黄瀬君は分かりやすく人気者だから。
「どもっス。今日は皆さんよろしくっス」
「黄瀬…!!」
「広いんでお迎えにあがりました」
黄瀬君は今日もきらびやかだ、オーラが。
芸能人っていつもこんな風なのかな。
「黒子っち〜、千瀬っち〜。あんなアッサリフるから…毎晩枕を濡らしてんスよ、も〜……。女の子にもフラれたことないんスよ〜?」
「な、名前で呼ぶの、やめてください……」
「今まさにフラれてるじゃないですか」
「いや千瀬っちのこれは照れ隠しだから。ね!」
「ひえ……」
「妹をおびえさせないでください」
兄さんの陰に隠れて歩く。会ったばかりのころは妹サンって呼ばれてたのに。
妹サンのままでいいのに。内気な人間と接する機会がないからわからないんだろうな。
「だから黒子っちにあそこまで言わせるキミには…ちょっと興味あるんス。「キセキの世代」なんて呼び名にこだわりとかはないスけど…あんだけハッキリケンカ売られちゃあね…」
うう、バチバチに喧嘩をしている。どちらも喧嘩っ早い性格なんだろう。関わりたくない。
私はできるだけ気配を消して、兄の後ろに陣取った。
「オレもそこまで人間出来てないんで…悪いけど本気でツブすっスよ」
「ったりめーだ!」
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