「I never expected to see you here.What a surprise!」
「You don't look surprised at all.Still wearing a poker face?」
「I'm not trying to hide my feelings.I'm just expressing them in my way」
英語で話している。火神君喋るのはできるんだ。
「ま、マネージャー。英語得意だよな? 通訳してくれ」
「え? えっと……会ってびっくりしたよ、そう見えないよ、ポーカーフェイスは相変わらずだね、そんなことないよ、と言っています」
「流石!」
「いえ……意訳ですし、端折ってますけど」
この二人、知り合いなんだ。胸に下げたリングもわけがあるのかな。
「で…Is it Mr.Himuro? Kagami's friend?」
「ああ、日本語で大丈夫。アメリカにいたのが長くて、まだ慣れてないだけだから」
「あ、そう? よかった、助かるわ」
「友達とは違うよ。強いて言えば、兄キかな」
「ああ…」
お兄さん? 兄貴分、ということかな。
火神君曰く、彼らはアメリカで仲良くなり、兄弟の約束をしたのだそう。
だけど兄弟を辞める、辞めないの話になり、それをかけて勝負をした際に火神君が手を抜いて。
怒ったお兄さんがもう一度勝負を、と言ったけれど、再選はかなわなかったと。
「あの時は残念だったが、オレも今年から日本に帰ってきて、今は陽泉高校という学校に通ってる。いつか戦うかと思っていたが、早いに越したことはない。今日こそ…あの時の約束を果たそう」
「タツヤ!!」
「なんだ?」
「オレは……っ…もう…お前とは」
ごす。と。
兄さんが2号の足を、火神君に思い切りぶつけた。
「いって…2号ー!?」
「火神君にウジウジされるとうっとうしいです」
「ああ!?」
「話は大体わかりました。その上でボクの思ったこと言ってもいいですか?」
何を言うのだろう。兄さんだから、間違ったことは言わないと思うけど。
「とりあえず…最後に手を抜いた火神君が悪いと思います」
ストレートだった。正論だけど。流石兄さん。
「それは…もしあそこで勝ってたら…」
「氷室さんを兄とは呼べなくなるし、そもそも本調子でない時に勝つのは不本意だったかもしれません。けどやっぱり大好きなもので手を抜かれて嬉しい人はいないと思います。それに…兄弟分じゃなくなったとしても、二人が別人に変わってしまうわけではないでしょう?」
少し、昔のことを思いだした。
兄さんが青峰君に、手を抜くなと言ったあの日のことを。
「…そうだな。そもそも…オレがバスケが好きな理由は、強い奴と戦うのが楽しいからだ。それはやっぱり、タツヤが相手でもそうだ。だから…サンキュ、黒子」
火神君が、胸に下げたリングをぎゅっと握った。
「腹は決めた!! もし戦うことになったら、何があっても全力でやるよ、タツヤ」
「…ああ、今日当たるのを楽しみにしてるよ。…ところで、キミ」
氷室さんが兄さんに目を向ける。
「…ゴメン、誰…だっけ?」
あ、なるほど。認識されていなかったのか。
なら多分私も認識されてないんだろうな。
「黒子テツヤです。はじめまして」
「! そうか、キミが…。面白い仲間を見つけたな、タイガ」
「ちょっ…タツヤ! 黒子のこと知ってるのか?」
「ああ、ちょっとね。そういえば、妹さんもいるって話だったけど…」
「妹? ああ、こいつか」
「わ」
ぐい、と火神君に引っ張られて前に出される。
氷室さんと目が合って、ぺこりと会釈した。
「黒子千瀬、です。こんにちは」
「挨拶が遅れてすまなかったね、黒子さん」
「あ……いえ、こちらこそ」
綺麗な人だな、とぼんやり思う。でもどうして、私たちのことを知っているのだろう。
「実は、オレがいくチームにも、面白い奴が一人いるんだ」
「……!」
「もしかしたら会うこともあるだろう。そうなったら紹介するよ」
そう言って、氷室さんは去って行った。
次の試合の準備が行われるため、私たちも観客席に移る。
……面白い奴って、誰のことなんだろう。
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