急いで近くのコンビニで傘を買う。
タオルは多めに持ってきていた分を皆に渡した。
駅に着く頃には、皆びしょ濡れになっていた。
「あー、ビシャビシャだ、もー」
「マネージャー、タオルまだある?」
「はい、あります。温かい飲み物も用意したので、いる方は言って下さい」
「オレほしい」
「オレも」
紙コップに紅茶をついで、皆に回す。
こんなこともあろうかと、保温性のある水筒を持ってきていたから。
「やけに険悪な挨拶だったな。仲悪いのかよ?」
「そんなことないですよ。人としてはむしろ好きです」
「は!?」
「ただ、選手としては、お互い気が合いませんでした。…なぜなら彼は、バスケ自体が好きではありません」
紫原君が、昔言っていた。
彼がバスケを始めたのは、人より体が大きかったから。
好きでもなんでもない。けれど彼は、バスケの圧倒的な才能を持っていて。
バスケを好きになることはないままに、キセキの世代と呼ばれるようになった。
だから才能があれば好きでなくてもいいし、好きでも才能がない人はイライラすると。
「…確かに、バスケを好きなだけでは勝てないかもしれないです。けどやっぱり好きだからがんばれるし、勝った時、心の底から嬉しいんだと思います」
兄さんの言っていることは、私もわかる。
紫原君のことを否定する気はない。でも楽しくできれば、好きであれば、それが一番だと思うのだ。
「ん?」
火神君が突然、ケータイを取り出した。
開いて、顔をしかめる。
「はあ?」
「どーした火神?」
「いや…カントクが今から学校来いって…」
「ええっ!?」
そうして、学校まで戻った私たちを待っていたのは。
「テツ君!!」
「桃井さん」
なぜかそこに居た、さつきちゃんだった。
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