第1話 運命共同体と下忍選抜試験

火の国、木の葉隠れの里。
アカデミーの卒業試験を終え、
新たに忍びとなり未来を担う子供たちが
下忍になるための説明会に出席していた。
これまでの勉学と違い、本格的に忍びとしての生活が始まる。
新しい生活に胸を高鳴らせ浮足立っている中、
神津紀由良は、その腕に
つぎはぎだらけのネコのぬいぐるみ、佐保姫を抱えて
教室の窓からぼんやりと空を眺めていた。
ざわめく教室の様子に何の関心も寄せず
窓の外を眺めている少女の姿は浮いて見える。
「今後君たちは三人一組か四人一組を組み、
上忍の先生の下で任務をこなしていくことになる。
班は力のバランスが均等になるようにこっちで決めた。」
今後の方針を説明していくイルカ先生の言葉を由良はぼんやりと聞いていた。
「では、班を発表する。」
次々と班が組まれていく中、とうとう最後の班が発表された。
「最後に十班。山中いの、奈良シカマル、
秋道チョウジ。それから神津紀由良。
この班は人数の関係上、四人一組を組むことになる。
昼食後、上忍の先生たちが来るので午後は先生の指示に従うように。以上。」
それぞれが昼食を取るために教室を出ていくのを眺め、
由良は自分も外に行こうと佐保姫を抱えて教室を出た。
(四人一組か…。)
由良はあまり人付き合いが得意ではない。
つぎはぎだらけのネコのぬいぐるみの佐保姫を
いつも抱えていることを周囲はいつも馬鹿にしてきた。
勿論、みんながみんなそんな人間ばかりなんかではない。
そんなことは由良にだってわかっている。
佐保姫はただのぬいぐるみではない。
由良にとっては大切な友だ。
何も知らずに馬鹿にしてくるアカデミーの子供たちを
由良はいつも無視していた。
だが、何も感じないわけではない。
由良は不安になった。
こんな自分がチームでうまくやっていけるのか。
持ってきたお弁当を食べながら由良は溜息をついた。



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