第1話 運命共同体と下忍選抜試験

「十班。いるか?」
教室に戻ってきた由良が声に反応して顔を上げると
そこには顎鬚を生やした熊のような男が立っていた。
それから由良は他の三人と共に屋上に連れて行かれた。
「よーし、それぞれ適当に座れ。」
屋上の柵に背を持たせて男は腰かけた。
「俺は猿飛アスマ。
これからお前らの担当上忍だ。よろしくな。」
男はそう名乗って、タバコの煙を吐き出した。
「それじゃ、一人ずつ自己紹介をしてくれ。
好きなもの、嫌いなもの、将来の夢とかな。」
アスマに言われてそれぞれ自己紹介をしていく。
由良は何を言おうかと悩んでいるうちに順番が回ってきた。
「じゃ、最後はネコの人形を抱えた子。」
「………………神津紀由良。
……好きなもの…静かなところ…
…嫌いなもの…煩いの……将来の夢…………。」
由良は夢の話で言葉が詰まり首を傾げた。
将来の夢と言われても自分ではよくわからなかったのだ。
4人は何を言うのかとじっと由良を見ているが、
言葉に詰まり俯いてしまった由良に顔を見合わせた。
「もーっ、何よ!」
そう声を荒げるいのに
由良はキュッと佐保姫を抱える腕に力を入れるが、
いのはそんな由良にお構いなしに立ち上がった。
「あんた、夢とかないの!?」
アスマはそんないのに苦笑いをしながら
由良が抱えるネコの人形をじっと見つめた。
(…あの人形、チャクラを感じる。
ただの人形じゃないってことか。)
ギャーギャーと騒いでいるいのに由良は
顔をしかめてうつむいてしまった。
そんな二人の傍にいるシカマルは「めんどくせー。」とあくびをしているし、
チョウジはお菓子を食べ続けている。
アスマはいのの頭をポンポンと撫でて立ち上がった。
「まぁいい。夢がまだわからないってこともある。」
その言葉に由良は顔を上げた。
「さて、これからこのメンバーで任務をこなしていく。
お互い仲良くするんだぞ。」
由良は佐保姫をギュッと抱き初めてメンバーの顔を見た。
「で、明日の話だな。」
アスマはそう言うと一枚の紙を配った。
「明日は演習場で試験を行う。
詳しいことはそれに書いてあるからよく読んでおけ。
時間に遅れるなよ。」
「試験?」
「先生、試験って?」
「お前らはまだ忍びじゃない。下忍候補生だ。
明日行う試験に合格すれば晴れて下忍、
つまり忍びになれるというわけだ。」
「何よ、それーっ!卒業試験は受かったわよ!!」
「あれは下忍になれる候補生を選抜するためのものだ。」
アスマの言葉にいのは肩を落とし、
シカマルは「めんどくせー」と舌打ちをした。
「まぁ、忍びは皆通っていく道だ。頑張れよ。
じゃ今日は解散!」
そう言ってアスマは姿を消した。



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