第3話 解き放たれた人形(トモ)

「さて、この先が目的の村だ。」
「はぁ〜、やっと着いた〜。僕もうお腹ペコペコ〜。」
「ちょっとしっかりしなさいよ!チョウジ。」
「めんどくせーから、さっさと済ませちまおうぜ。」
そうして、村までもう少しという時、
「!!お前ら、気を付けろ…!!」
アスマが声を潜めて部下たちに注意を促した。
「え?!」
「どうやら囲まれている…。」
アスマの言葉に4人は顔色を変えた。
「誰だ?出てこい!!」
アスマの声に草陰から目つきの悪い男が3人出てきた。
「へへへへ…おい、兄ちゃん。ガキどもを連れてお散歩かい?」
男の言葉に仲間たちがバカにするように笑っている。
「な〜に、ちょっとそこまでな。」
アスマは男の言葉に勝気に笑っていたが、
いのたちは顔をしかめて不安そうにしていた。
「ふ〜ん、まぁいい。金目のものを置いていけ!
そうしたら命だけは助けてやるよ。」
男はナイフを向けて脅しをかけてきた。
「生憎だが、金目の物は持ってなくてな。」
アスマは不敵に笑って言った。
「じゃぁ、仕方ねぇな…やれ!!」
男がそう言うと脇に控えていた男2人が襲い掛かってきた。
「お前ら!援護は良いから、自分の身を護れ!!」
アスマはそう叫ぶと、男たちを迎え撃った。
(チっ…さすがに3人相手にこいつらを庇いながらはきついな…。)
相手は複数に対して自分1人では、不利。
アスマはそう判断した。
指示をした男は傍観しているだけだったが、
相手が子供連れとはいえ、
かなりの実力を持つと判断したのか、
不意を突き、鎖鎌がアスマをめがけて飛んできた。
「?!」
不意を突いてきたことに驚き、アスマは川の上に逃げた。
だが…


「水遁 水牢の術!!」


「何?!」
後ろから男の分身が現れ、忍術で襲ってきた。
そして、アスマは水の牢に閉じ込められた。
「…お前、抜け忍だったのか…。」
「まぁ…な。今はほとんど忍術を使うことはなかったがな。」
「…そんな…先生!!」
アスマが捕まったことで下忍たちの顔色がさらに悪くなった。
「お前ら!!逃げろ!!」アスマは部下たちに向かって叫んだ。
「こいつらは抜け忍だ!!お前らじゃ敵う相手じゃねぇ!!」
「そ、そんなこと言われても…。」
「シカマル、どうしよう…。」
いのとチョウジはどうすべきなのか、迷っていた。
自分たちの先生が捕まった。そんな相手に戦っても敵うわけない。
だが、捕まった先生を放って逃げられるか。
どうしたらいいのか、怯えた表情で迷っていた。
シカマルは目を閉じてこの状況を分析していた。
上忍であるアスマを捕まえたことから相手の実力は相当なものだろう。
そんな相手にアスマの言う通りに逃げたところで、
追いつかれて捕まるのがオチ。
かと言って戦って勝てるような相手ではない。どうする…?!
由良はそんな3人の様子をじっとただ見つめていた。



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