第3話 解き放たれた人形(トモ)

「ついに来たわね。」真剣な顔をするいの
「いよいよだね。」少し不安そうにしながらも決意を新たにするチョウジ。
「めんどくせーが、やるしかねぇな。」と腹をくくるシカマル。
「……………。」そんな3人をぼんやりと由良は見ていた。
その様子にアスマは、おいおいと溜息をついて言った。
「お前らな、そこまで力を入れるのは良いが、いつまでそうしている気だ?
もういい加減行くぞ。」
「?!先生、ちょっと待ってよ〜!!」
「30分も門の前でそんなことしてたら時間の無駄だ!行くぞ。」
そう言って歩き出すアスマに由良はトコトコとついて行った。
置いてきぼりの3人は慌てて2人を追いかけた。

「でも、アスマ先生。僕たちで出来るのかな〜Cランク任務なんて。」
そう、今回、10班は初めてのCランク任務を言い渡されたのだ。
任務の内容は、一つの巻物を火の国にある村の村長宅に届けること。
特に何もなければただのお使いだが、
念のために襲われる危険性も考慮してCランク任務なのだ。
「そう気負うな、チョウジ。
お前らは任務の合間にもちゃんと修行をしてきただろ。
Cランク任務をこなす実力は充分あると俺は思っているぞ。
それにCランクだからって必ずしも忍者同士の戦いがあるわけじゃない。」
そう言うアスマに不安が募っていた彼らは安心したように笑った。
「にしても、由良。
あんた、里を出るときも持っていくのね、その人形。」
緊張が解れてきたのか、いのは由良が抱えている人形を指した。
「…この子は大事な子。」
由良はギュウと抱え込みながら小さく答えた。
「大事な子?」いのは首を傾げた。
「……大事で頼りになる友達。」
いのは由良の言葉に首を傾げた。
いのにはただの人形にしか見えない。
でもそれ以上は何も言わなかった。
というのも、いのが以前アスマに任務に
人形を持ってきていいのかと指摘したときに言われたのだ。
『そうか、いのにはただの人形に見えるのか。』
『どういう意味ですか?』
『いの、お前も一人前の忍者なんだ。
忍者の持つ物は必ず意味のある物だということを
覚えた方が良い。』
『意味のある物?』
『例えば由良の持つ人形も、
ただの人形にしか見えなくても、
それはただの人形じゃないってことだ。』
『ただの人形じゃない…。』
『そうだ、かと言って俺も由良の人形に
どんな意味があるのかはわからんがな。』
『え〜?』
『忍者はある意味何でもありありだぞ〜。』
(アスマ先生はそう言って笑ってたけど、
あの人形に何があるって言うのよ!)
「でも、それ、つぎはぎだらけだよな。」
いのが話題に出したところで興味が出てきたのか、
シカマルが由良の隣を歩きながら覗き込んだ。
「…小さい頃から一緒だから…。」
「ふーん。」



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