第3話 解き放たれた人形(トモ)

チョウジが術を放った。
「忍法 肉弾戦車!!」
チョウジの身体が岩のようにゴロゴロと
転がって敵に向かっていく。
「!何だ?!」
敵の1人は慌てて避けていった。
その様子に気を取られて隙が出来た。
もう1人が助けようとナイフを構えると
突然身体が動かなくなった。
「!!身体が…!!!」
ふと目線を横に見ると、印を構えて笑っている子供がいた。
「影真似の術 成功。」
「お前ら…。」
アスマは部下たちの様子に驚きと喜びを隠せなかった。
アスマを捕らえている男は苛立ちを隠さず
「何をしている?!」と怒鳴り散らす。
「おい、いの。」
「忍法 心転身の術」
いのは秘伝忍術を、アスマを捕らえている男にかけた。
男はいのに身体を乗っ取られて動かない。
(よーし、これでこの水を破れば…。)
いのがアスマにかけた術を解こうとしたその時、
アスマの声が辺りに響いた。
「いの!!!!!」
(え…?)ザシュッ…
男の身体を切り裂く音と共にいのの身体も血が流れた。
「いの!!」
男の身体を乗っ取ったいのの後ろから
同じ姿をした男が現れ、いのは殴り飛ばされた。
「危ねーな〜、おい。保険をかけといて正解だったな。」
「分身…。」
水の牢の中でアスマが呟いた。
「正解。」
いのは吹き飛ばされた身体を起こして術を解き、
自らの身体に戻った。
「…ん、シカマル。ごめん。」
「否、大丈夫か?」
自分の身体を心配するチームメイトに
無言で頷くいのだが、その表情は悔しげだ。
(くそっ…いのがあいつの術を解くくらいの時間を
稼げると思ったが、これじゃ…どうする…?)
そしていのに気を取られたチョウジに隙が出来てしまった。
「水遁 水龍弾の術!!」
その一瞬の隙を突いて大量の水がチョウジを直撃し、
チョウジも吹き飛ばされてしまった。
そうこうしている内にシカマルの術も解けてしまった。
チャクラが切れてしまったのだ。
万事休すと誰もが感じたその時、



ドゴッッッ!




大きな音と共に林の方から何かが飛んできて、
敵二人に激突し気を失ってしまった。
「!!!」
何が起こったのか、誰も分からなかった。
飛んできた何かはすぐに起き上がり、
その場にいた誰もを驚かせた。
それは、アスマを捕らえている男の姿をしていた。
男の視線の先からは、カサカサと何かが近づいてきた。
姿を現したのは、つぎはぎだらけのネコの人形を抱えた由良だった。



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