第3話 解き放たれた人形(トモ)

「………由良。」
「…なぜ、俺の居場所が分かった?」
男の唸るような問いに由良は顔色一つ変えずに答えた。
「…この場に聴こえるはずの音は、
チョウジが追いかけた男とシカマルが捕らえた男、
そしていのの術にかかった男とアスマ先生を捕らえた男は
同一人物だから音は1つで、全部で3つ。
いのを後ろから襲った男は分身だから音は聴こえない。
なのに音は2つしか聴こえない。

そして…林の奥に音が1つ。

シカマルたちに気を取られているみたいだったので、
その隙に音を辿ったら、あなたがいた。それだけ。」
「…チッ…何を訳わかんねぇことを言ってやがる!!」
由良の言葉に腹を立てた男は由良に襲い掛かってきた。
「由良!!」
だが由良は顔色を変えずにバックステップを踏み、
抱えていたネコの人形を空高く放り投げた。



「…起きろ、佐保姫…。」



くるくるくるくるくる、スコォォーン!!




由良の呼びかけに応えるように、
それはアスマを捕らえている男の頭を直撃した。
男が顔を上げると自分の前には、
つぎはぎだらけのネコの人形が鎖鎌を構えていた。


「…かの者を解き放て…。」


由良の声に同調するように、その人形は走り出した!

迎え撃とうと男はナイフを構えて人形に切りかかっていくが、
人形はいとも簡単に交わしていく。
ヒュッ!
そして鎖鎌を敵に投げつけたが、男は交わした!
「ハッ、どこを狙ってんだよ!…!!」

人形の投げた鎖鎌はアスマを捕らえていた水の牢に突き刺さり、
パァアン!!と弾けて解けた。


そして同時にアスマは自分を捕らえていた男を殴ると、
男はボン!と音を立てて煙と共に消えた。
「ただの分身じゃなくて、影分身だったのか…。」
残った男は苛立ちを隠さずに舌打ちをした。
「こうなったらてめぇを八つ裂きにしてやらぁぁぁ!!!!」

男はそう叫んで、由良に襲い掛かってきた!!しかし…


ヒュン!!ドゴォォン!!!



大きな音を立てて残った敵は吹き飛んで倒れた。
音の先にはアスマを助けたあの人形が立っていたのだった。



第三話 解き放たれた人形(とも) Fin.

2016.7.7




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