晴明には他の人間と違う所が他にもあった

その身に式神を宿しているのだという
私に出会う前は式神の使い方が分からず、故に苦しんだそうだ

この子供はどれだけの業を背負っているのだろう

晴明は年を追う毎に式神の使い方を覚え
ある日その式神を私に見せてくれた


「…黒蠅?」


私は付き合いが悪く他の神々とも殆ど面識はないが彼の事は知っていた

やたノ黒蠅、私と同じく群れるのは好きではないようで少しばかり話した事もある

それでも私と違い彼はある程度他の神々と交流しているようだが


「よぅ、久しぶりだな」


式神として晴明の体に収まっている時も意識はあるのか
事態は把握しているようだった
ここまで黙っているとは神だけある、良い性格だ


晴明が寝静まった後少しばかり話をした

晴明の両親を知っているか聞かれたが私は付き合いの悪い神だ
黒蠅が大江ノ山で首輪をかけられカラス天狗となっていた時も知らなかった
そんな私が人間界で拾った子供の両親など知る由もない

聞く所によると晴明はとある男神と陰陽師の子供らしい


ここにいても祭り囃子が聞こえただろ?と問われたがまさか晴明の両親が原因だったとは
あの祭りは天界、冥界、さらには人間界をも巻き込んでの祭りだったらしい

そんな盛大な祭りだからこそ付き合いの悪い私には声がかからなかったのだと思う
騒がしい所は好きではない


黒蠅は最後までは話してくれなかったが親の因果が子に報うと人間は言ったものだ
それなのだろう


三界を繋げるなど神々が許すわけがない
何かしらの罰を受けたのだろう

特に興味も無かったので詮索はしなかったが


ただ、晴明の父という存在は少しだけ気になり
晴明に似ていたかだけ聞くと晴明は父によく似ているらしい

それなら晴明の父はさぞ女神に人気だっただろうと返せば黒蠅は複雑な顔をした