交神の話

私とて神の端くれ
こんな日が来るのは想定内ではあった


「晴明、私は来月用事が出来た」

「おや珍しい
一体何用ですか?」


私は普段他の神との交流はおろか外に出る事すら少ない
そんな私が珍しく予定があるというのだから晴明は少し驚いたように見えた


「なに、例の一族との交神だ」


騒ぎの真っ最中は私は様子見の第三勢力としてかの一族には関わらなかった
だが晴明の一件から力になれる事があれば呼ぶように言ったのだが

まさか本当に声がかかるとは
私のような位の低い女神の子供が欲しいとは

人間の考える事はわからぬ
だが晴明の礼もかね、断るつもりなど最初から無かった


「交神の儀を貴方が?」

「私も驚きだがな、そのようだぞ
だから来月は…」


交神の儀は長くて一ヶ月
出来れば早々に終わらせて早くこの家に帰りたいものだ


「嫌です」

「は?」

「なぜですか
なぜ私との子を孕む前にあの一族との子を生むと言うのですか
順番がおかしいでしょう、私は許しませんよ」

「待て待て晴明!何をわがままを…」

「嫌なものは嫌です
そうだ、神は孕んでから生むまでどの位なのですか?
それまでに私の子を生めば…」

「一ヶ月で子など産めるものか!神を畜生以下と思うな!」

「私の子を生めば良いだけと言っているではありませんか!」

「終わったらちゃんと貴様との子も生んでやるから納得しろ!」

「嫌です!!」


結局
私の交神の儀は先延ばしとなり

後に二人そろって昼子に怒られる事となるのであった