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本当に仕事とかやってらんない
クソみたいな田舎じゃ楽しみも少ないし
あのクソガキ共は相変わらず僕をなめてる


ジュネスでたこ焼きを頬張りながら自主的に休憩をとる
田舎じゃ空調きいてる場所少ないからねぇ
ここは良い場所だ


「お仕事、忙しそうですね」

「わっ!っと、あちちっ…」

「だ、大丈夫ですか?」

「いや…いきなりだったからびっくりして…」


背後からいきなり僕に話しかけてきたのは女子高生
小西早紀の件で話しかけたのをきっかけによく僕に話しかけてくれる

ガキに興味はなかったけど
この子はあのクソガキ共と違ってうるさくないし素直だから嫌いじゃない


「私に気付かない位お仕事に熱中してました?」

「あはは、堂島さんには内緒ね?」

「分かってますよ」


小西早紀に関する聞き込みついでに分かった事だけど
彼女は八十神高校の生徒会長らしい

けれど小西早紀みたいのと付き合うだけある
成績も素行も良く一見真面目そうなのだが
実際はクソ真面目という訳でもなく
意外にも僕のサボりにも否定的ではない

物分かりは良いが、真面目ではなく話す分には気が楽だ

僕が小西早紀じゃなくこの子に手を出してれば展開はまた違っていたかもしれない


「犯人、見つかりませんね」

「そうだねぇ…こんな狭い町で立て続けの犯行
同一犯、それも町の人間に間違いないとは思うんだけど」


ま、犯人は僕なんだけど
小西早紀や事件に関して進展のない話をする時の彼女の表情は結構好きだ

嗜虐心を擽られる


「捜査って大変そう」

「実際は結構地味なものだよ
ひたすら聞き込みとかね」

「十分大変そうですよ」

「そう言ってくれると助かるよ
警察は何やってるんだーとかうるさい連中結構いるからねぇ…」


実際こんな風に労いの言葉をかけてくれる人の方が少ない
本当、世の中のガキが皆この子みたいなら僕もあんまストレスがたまらないのに


「ふふ、本当にお疲れさまです」

「お気遣いどうも
なまえちゃんも何か食べる?奢ってあげようか?」

「え、いやそんな結構ですよ!」

「まぁまぁ、ほら、賄賂だと思ってさ」


君の親友を殺したのは僕で
君が僕に犯人捕まえてくれ、頑張ってという言う時の表情が
最近の僕の楽しみの一つでもあるんだから
少し位お礼はしておかないと


「そういう事ですか
そんな事してくれなくても言わないのに
じゃあ足立さんが食べてるの一個だけ下さい
それで十分です
晩ご飯食べられなくなっちゃう」

「あはは、子供みたいだね
じゃあほら、あーん」


本当に何も知らない子供みたい
勉強も出来るみたいだし
この世界の汚い所なんてろくに知らないのかな


「まだ子供ですから
あちっ、結構熱いですね」

「大丈夫?」

「えぇ、なんとか」


口元を隠しながら
たこ焼きを頬張る彼女を見ながら僕も残りのたこ焼きを口に運ぶ


「…ねぇ足立さん」

「ん?」

「もしかしたら、知らない間に犯人とすれ違ってたりするかと思うと、少し怖いですね」


たとえばそれは


「実は隣に座ってたりとか?」

「やめてくださいよ怖い!電車とかバスも怖く感じるじゃないですか」

「ごめんごめん、
まぁ、犯人は警察が必ず捕まえるから」

「えぇ」


君の憎悪の対象も
憎しみの対象も本来は僕で

にも関わらず君は僕に希望を抱いてる

その希望にかける君の笑顔は
何よりも滑稽で

僕は何よりも愛しく思うよ