3夜目

今日は日曜日
美味しい紅茶と気になっていたパン屋で少し奮発して買ったパン達が朝ご飯
リビングに飾られたお花も相まって優雅な休日を演出してくれる

「たまには紅茶も良いですね」
「入間さんもっぱらコーヒーって感じですもんね」
「そうですね、起きてなくてはいけない事が多いので自然とそうなりました」

起きてなくてはいけない、か
そういえば私は入間さんの事をろくに知らない

そしてそのろくに知らない男と数日ベッドを共にしていて何も無いのだから不思議だ

「入間さんって普段何してるんですか?」
「警察官ですよ」
「うわー似合うー」

そう言われてあの整理された部屋も納得がいった
しかし警察官でもこんな事するのか
まあ汚職事件とか昔から聞くし、警察だって人間か

「なまえさん、今日のご予定は?」
「特にないです。掃除は昨日いっぱいしたし、ダラダラしてたいですね」
「でしたら提案なのですが…」

私が暇と聞いて、入間さんは少し嬉しそうだった


*****


「…入間さんってそんなに寝れてないんですか」
「そうですね」

朝ご飯も食べ終わって早々に私たちはまたベッドの上にいる
入間さんは私を抱き枕のようにしっかりと抱えこむ、足も絡まれているので私は全然動けない

入間さんから提案された今日の過ごし方、とりあえず寝る。だ
確かに休日を寝て過ごす、ありだと思うが
仮にも男女で…

「…スゥー…」
(入間さん相変わらず寝るの早いな…)

しかし入間さんにはそんな心配は無用だった
私に出会った頃寝付きも悪くて寝不足だとは言っていたが
添い寝するだけでこんなにも寝付きが良くなるものなのか

(私もあんまり人の事言えないけどさ)

たった数日だが入間さんとの睡眠は実に快適だった
一人だとダラダラしがちな入眠も、寝起きも
入間さんがいるお陰でスムーズだったし心なしか調子も良い

実際何も悪いことはないし、暫くはこんな謎の関係もいいのだろうか


ブーッブーッ


と思っていたところで突如スマホが震えた
それは私のではなく入間さんのだ
どうしよう、起こすべきだろうか、折角寝付いたのに…と悩んでいると入間さんが動いた
ああ、起きてしまった

「ったく誰だ…もしも」
『オイコラァ!!このウサポリ公!!遅えじゃねえか!!今日は休日だろがテメェ!!!!』

うっわあ、ガラの悪い怒鳴り声がめちゃめちゃ聞こえる
というか電話に出るときの入間さんも心なしか言葉が悪かった気がする
もしかして普段めちゃめちゃ猫かぶってるのかこの人は

「左馬刻テメエよく分かってんじゃねえか…こちとら休日で寝てたんだよ!邪魔すんなクソが!!」
『あぁ?!テメーが寝てんなんて珍しいなぁ?!』
「…ちょっと失礼しますね」

唖然とする私に気付いたのか
入間さんはスマホを持って外に出ると
次は外から軽く罵声が聞こえた

入間さん警察って言ってたのにご友人はなかなかにヤンチャなんだな
てか入間さんもメチャメチャ口が悪かったな
さてはあっちが本性か

通話を終えた入間さんに大丈夫なんですか?ととりあえず聞いてみたら
何時ものように涼しい顔で大丈夫ですとだけ返ってくるもんだから
そこから先はあまり聞けなかった

結局そのまま二度寝して、何となく起きたらピザを頼んで
昨日入間さんがくれたお菓子でお茶をしてとまあまあ有意義な休日を過ごせたと思う

沢山寝れたので今日は一人で寝てみますねと入間さんは帰って行った

いやそれ普通だからな?