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この間おねーさんを拾った


「ねーハロワって楽しいー?」

「…楽しくないよ」


俺にまいう棒をくれたおねーさんは○○ちんって言って正直俺より六つも年上とは思えない
精々二十代前半だと思ってたのに

そんな○○ちんは現在絶賛就活中
室ちんも来年は就活だから、と○○ちんの就活に協力的だ


「うー、資格とかとった方がいいんかなぁ
やっぱ語学系は強いかなー」

「英語なら室ちんに教わればー?室ちんアメリカにいたから英語ぺらぺらだよー
帰国子女ってやつー」

「マジか…あのイケメンは英語まで喋れるの…」


求人情報を整理しながら○○ちんはため息をついた


「もうブラックでもお金たまるならいっかなー…
休む間もなく働けば嫌でもお金は…」


そう言って彼女が手に取った求人は俺の目から見ても就業内容がきつそうだった
正直に書いてるだけましな企業なのかもしれないけど


「それはだめー」

「えー、なんで?」

「あんま忙しいと○○ちん俺たちの弁当と朝ご飯と晩ご飯作れなくなっちゃうじゃん」


この数日、起きれば朝ご飯が用意してあって
家をでる時にはお弁当を渡されて
帰ってきたら晩ご飯があるのだ

外食してた時より食費は安いのに満足感はこちらの方があるし
何よりいちいち人参をより分けずに済む食生活は快適だった


「…私は君らのお母さんになった覚えはないんだが」

「でも俺○○ちんに胃袋捕まれちゃったしー
責任とってよー」

「君ねぇ…私は君たちと違って若くないんだから勘弁してよ…
後がないんだよ、ほら」


口封じの為か
差し出されたまいう棒を受け取り口に含めば
○○ちんと初めて会った日の事を思い出した


「○○ちんずっとうちにいなよー」

「初日から思ってたけどそもそもこの部屋は君のじゃなくて氷室君のだからね?」


なんだかんだで相手をしてくれる○○ちんを
あの日拾って良かったなぁとつくづく思う