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この間の彼らの大学生活を垣間見て
一つの疑問が浮かんだ


「紫原君、彼女作らないの?」


紫原君の彼女の存在だ


「いらなーい」


返事は予想通り

大穴で実はもう彼女いますという展開も予想したのだが
やはりいないようだったしその口振りから作る気もないようだ


「なんでー?こないだ大学で見た限りモテるっぽいじゃん」


休憩中、彼は確かに女の子に囲まれていた

皆からお菓子を貰う姿はマスコット的な扱いなのかもしれないが
年頃の女子がわざわざ放課後自分の所属していないサークルに赴き
全くの下心もなくそんな事はしないだろう


「んー、室ちん見てたら彼女って面倒くさそうだしー」

「あー…」


そうか、彼の中での彼氏彼女のあり方の基準を作ったのは氷室辰也になるのか

それを間近で見続けていたせいで嫌気がさしているのかもしれない


「○○ちんの弁当ダメって言われるのやだしー」


現に最近別れた彼女の話が出てきた

彼は束縛とか嫌いそうだしな
大学生の青い恋愛は向かないのかもしれない


「そうかー彼女いたら大学生活も潤い出そうなのに」

「今でも結構楽しいからいーよー」

「ふーん」


彼が楽しいと言うなら
それはそれで良しとしよう