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どうしてこうなったのか
もう考えるのも面倒だ


「室ちんキス長すぎー」


後ろから伸びた手が私を氷室君から引き離し
そのまま伸びた腕の主である紫原君の胸に着地したと同時に首もとに這うなま暖かい感触

味見をされてる私を楽しそうに見下ろす氷室君

本当に意味が分からない


「○○ちん、こっち向いて」


私の返事を待たずに紫原君は私の顔を振り向かせ
次は唇に噛みついた

舌の感触も違うしキスの仕方も違う

分かっていた事だがこんな短時間で複数の人間とこんな事をした事などなく
改めてこの行為はこんなにも人によって差があるものなのかと実感した


「今日はちゃんと優しくするから」


そう宣言してから私の上着を捲るのは氷室君

下着の隙間から指を忍ばせ突起を弄るのはじらしているのか
紫原君に対する対抗心からか

ぐにぐにと下着の上からでも氷室君の指が動くのが分かる

視覚的にも、これは結構くるものがあった


「ひゃっ?!」

「○○ちん濡れるのはやーい
やっぱ三人だと興奮する?」


前からも後ろからも攻め立てられ
気付けずにいたが下着の中はもう十分に潤っていた
紫原君の指でその事実に気付かされ

また体に熱が宿るのを感じる


「つーか室ちん何でそんなじれったい触り方するの?」

「アツシはストレートなセックスが好きなんだね」

「分かりやすくていーじゃん」

「ひぁ…っ、あ!」

余裕のない私と違いこの二人はいつものように
まるで世間話をするかのように会話を続ける

最初はゆっくりだったがすんなりと私のそこが紫原君の指を受け入れた為
徐々にその速度は増していく


「あはは、凄いよなまえ
アツシの手は大きいからな
まるで挿入してるみたいだ」


胸への愛撫よりもこちらの方が面白いのか
紫原君によって出し入れされるそこを氷室君はじっと見つめる
私の両足は紫原君によってしっかりと固定され
足を閉じる事は許されない


「中すっごいひくひくして締め付けてくるし
もー良いんじゃない?
じゃーまずは室ちんよろしくねー」


前触れもなくずるりとその指を抜かれ
それが本来の形なのに失われた質量を名残惜しく思う私がいた

流されているという実感はあったが
もう思考回路は低下し

何も考えられない


「はぁ…あ…あっ」

「ほら、○○ちん
逃げちゃダメー」


無意識に引ける私の腰を紫原君が後ろから押さえつける

先ほど失われた質量以上に大きく
熱をもった氷室君自身が私の中へと埋まっていく
氷室君からわずかにもれる熱の籠もった声が
また私を興奮させた


「やっぱ入ってる時の顔が一番エロいね
ね、○○ちん俺のも気持ちよくして?」


ずいっと突き出されたすでに十分に膨張しきった紫原君
以前は凶器じみたその大きさに恐怖心すら抱いたが今は興奮すら覚える

迷う事なく口に含め
雄特有の味を感じながら舌と喉で奉仕をすればこちらからも甘い声が漏れた


「はは、アツシのくわえたらきゅって締まったよ
なまえ意外に淫乱だったんだ」

「…っふぁ、はっ!」

「…本当、だらしなくて、最高にやらしいよ」


今の私の姿がよほどお気に入りなのか
氷室君はさらに腰を打ち付ける


「室ちん早くー口じゃいけなくてじれったいんだけど」

「…焦るなよアツシ、まぁ実際俺もそんなに保たないんだけど、っさ!」

「んぐっ!!」


深く突き上げられた後
氷室君のそれが跳ねた用に膨張したのを感じた

あぁ、イったのか


「じゃ、次俺の番ね」


ぼんやりとした私のそこに休む間もなく紫原君のそれがあてがわれた

低下した思考回路でも
あぁ、これでやっと解放されると安堵を覚えた


「あっ、あぁぁ…!!」

「やっぱりこれが正解だったね
俺のちゃんと入ってく」


私を気遣ってか少しずつだが
確実に紫原君は侵入してきた

未だかつて感じた事のない圧迫感に
今はもうそれだけで飛びそうになる

でもこれで終わるんだ
義理は果たした

こんなふしだらな関係がようやく終わる
私にも、この二人にもまた日常が戻るんだ

紫原君のそれをすっかり飲み込んでしまったと同時に

ぼんやりとしていた私の意識を
一瞬で現実に引き戻す言葉が降ってきた


「ねぇなまえ」

「…な、なに?」

「これでアツシとは一回
俺とは二回セックスした事になるね」


その言葉に
体温が下がるのを感じた


「あ、そーいやそーじゃん
室ちんずりー今度もう一回シよーねー?」


私の悪夢はまださめないのだと告げられたようなものだった