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「…えぅ…」

「なまえ?」

「○○ちん?」


もう
我慢の限界だ


「あーもーなんなの!
なんなのさー!!」


まるで火をつけたかのように
私は大きな声をあげて子供のように泣き出してしまった


「えっ、ちょ?!痛かった?!」

「違う!!二人ともなんなの!
なんで我が儘ばっか!
こんなの間違ってるのに!二人の為になんかならないのに!」


私はもう25歳で
結婚はおろか子供がいてもおかしくないのに仕事は見つからず
学生の元に転がり込むようなどうしようもない人間なのだ

そんな人間が偏差値も高く
学業だけでなくバスケですら評価されている未来ある若者二人に深く関わってはいけない

彼らにはもっと相応の生活、相応の伴侶が必要であり
私は決してそれにはなりえないのだ


「ねー○○ちん
前から思ってたんだけどさー」

「…何よ」

「俺たちの為ってよく言ってたけど
俺たちの意見は?」

「は?」


涙と鼻水でそれはもうひどい事になっているであろう私の顔を
タオルで優しくなでながら氷室君が続いた


「俺たちはなまえが良いんだよ」

「何言ってんの?!私無職だよ?!
君たち大学で選び放題でしょ?!」


そうだ
この二人はモテるんだ

それをわざわざ私なんかで満足する必要なんてないはずだ


「えーでも○○ちんのご飯が一番美味しいしー
高校や大学の子と違って面倒じゃないしー」

「俺年上が好きだったみたい
なまえのそういう落ち着いた考え好きだよ
大学にはいない」

「…はぁ?!」


思わぬ賞賛の嵐に
私の声は裏帰りっぱなしだ


「あ、あともう一個ー」

「…何」


まだ足りないのか
紫原君はそう一言断りを入れてから

突然私を突き上げた


「あんッ!!」

「俺のどーてー貰ったんだから責任とってよ」

「ど、童貞?!」

「アツシのこのサイズだからね
今まで彼女はいた事あっても最後まで出来なかったんだよ」


まさかの真実だ
紫原君が童貞だったなんて


「その辺も、やっぱり経験豊富ななまえが良いって」

「室ちーん、それなーんかムカつく」

「あ、っん!あぁ!!」


私だってそんなに経験豊富ではないのだが年の功と言うやつだろうか

確かに紫原君は処女とは物理的な相性は悪いかもしれない
けれどそんな事些細な問題じゃないだろうか

氷室君の経験豊富の言葉に嫉妬を覚えたのか

紫原君は執拗に私の中を抉る

恐怖心すら抱いていたそれに私はまんまと鳴かされている訳だ


「なまえ、俺たちだって何も考えていない訳じゃないんだ
だからもうちょっとさ、我が儘になってよ」

「はぁ…っ、あー…ッあ!」


子供を諭すような優しい
けれど熱の籠もった声で囁かれ


紫原君が果てる頃には私はもう諦める事にした