02

「―…」


たまには昼寝というも良いものだ
吹き抜ける風が頬を撫で

文字通り私は夢心地だった


「みょうじ!」


そして目覚めたそこは
変わらず夢の中だった


「は、はい!!」


反射的に返事をし
立ち上がった所で信じられない光景が飛び込んできたのだ


「少したるんでるんじゃないか?」


そう険しい顔で私を叱るこの男を

私は知らない

未だに夢の中なのだろうか
思わず辺りを見回す

広がるのは懐かしい光景だった

並べられた机
同じ服を着た男女

そして私を叱りつけた男が立つのは何年かぶりに見た教壇


「えっ…あ、すいません」

「まだ寝ぼけてるのか?しっかりしろ」

「は、はい…」


そして私も例外ではなく
この空間にいる女子と同じ制服を纏っている


(な、何これ…?!)


着席を促され、状況をまとめる

確かにここは教室だ
開かれた教科書は物理、それから察するに高校のようだ

叱られないよう静かに鞄を漁る
発掘された生徒手帳には確かに私の写真が記載されていた


(あれ、でも生年月日が違う…若くなってる…)


不可解な事だらけだ

何よりこの教室も制服も
私は覚えがない

私の知らない学校なのだ


(陽泉…?)


生徒手帳に記された学校名
やはり覚えがない

しかし私の風貌から察するに、今私はここの生徒なのだろう


(うわぁ、私すっぴんじゃん…!)


しかし自ら撫でた頬はファンデーションのいらないような肌をしていた
心はともかく体は完全に女子高生らしい

イヤにリアルな夢だ
終業の鐘が響き

今日の授業は終わりらしい

顔も名前も覚えの無い女生徒に一緒に帰ろうと誘われたが未だに理解出来ない状況に断り

私は校内を探る事にした