04

「なまえ?」


次に響いたのは氷室君の声だった


「大丈夫?なんだかうなされてたみたいだけど」

「えっと、氷室君?」

「うん?」


見慣れた顔に見慣れた部屋
寝る前と同じ感触のソファー

やはり夢だったのか
にしても嫌にリアルな夢だった


「…いや、何でもない」

「どうかした?なまえが甘えてくるなんて珍しいな」


確かめるように氷室君の首に手を回し
氷室君の体温を感じて確かにこれが現実なのだと再確認する


「…私が甘えちゃダメ?」

「まさか、むしろ嬉しいよ」


そう言って抱きしめてくれる氷室君に今は少しだけ甘えよう


「ところでなまえ」

「ん?」

「今日、アツシが帰ってくるまでまだかかるんだけど…」


どう?と耳元に響くのは熱を持った低い声

氷室君、顔だけじゃなくて声も良いんだよな
神様は不公平だ


「…程々に頼むよ」


そう私が返せば
氷室君は嬉しそうだった