「よく頑張ったな」
この世の終わり的な顔をあたしはしていたんだろう。
ベッドに運んでくれたダンデさんの労るような態度が、それを物語っていた。
「…うそ」
「ナナシ?」
ぼんやりと天井を眺める。
自分に起きたことを整理した。
夜中目が覚めて、トイレに行って、そしたら男性器があって、
「…こんなの…こんなの…うそだあ…っ」
パニクって叫んで、ダンデさんが起きて、診てもらって、それで、
「なんでっ?なんでっ…こんなの…」
尿道から出ていく感覚でわかった。
これ、本当にあたしの身体についているんだ。
でもどうして?いつから?何で?何でよ?
「こんなの…」
しかも女性器はそのまま。
アレがあるのに、アレが生えた。
どういうこと?っていうか、ていうか、それ以上に!
「こんなの…気持ち悪い…っ」
あたしは別にその手の差別主義者じゃない。
世界は広いんだ。こうした肉体の人たちだっているだろう。
両性具有というかね。逆も然り。
そして彼らに対する嫌悪感とか不快感とか、当然持っていない。
「男か女かも…気持ち悪いっ」
でもそれは。他人だから、の話だ。
おまけにあたしは、ついさっきまで――具体的な時間は不明だが――女の身体だった。
それが突然ペニス出来た、なんて受け入れられる方がおかしい。
だから真っ先に浮かんだのはキモチワルイという明確な拒否反応だった。
「こんなのっいやだあ…っ」
完全に男性の身体になっていた、とかならまだわかる。
いやわかんないけど!
でも理屈としてはシンプルだ。
女だったけどなぜか男になりました。はい終了。
ところが、あたしは胸もしっかりあるし、声が低くなったりもしてない。
本当に、本当にアレが生えただけなのだ。
いや“だけ”ってレベルの話じゃないけど!
「こんなんじゃもう…もう…」
リアルにお嫁行けない。てかそれどころの話じゃない。
プールも温泉もアウト。ショーパンとかも履けない。
生活に大きな制限も出てくるだろう。
「ナナシ」
「っふ、うっ…うう…?」
不意に。軋む音がして、頬をベロリと舐められた。
両目を覆っていた腕がゆっくりと退かされる。
そこには困った表情の、でもどこか嬉しそうなダンデさんがいた。
「かわいいな、お前は」
「う、え…?」
「気持ち悪くなんかない。心配するな」
「っでも…でも…」
そう促されたところで、無理なものは無理だ。
ただ、何度も降ってくる優しいキスで少しずつ落ち着いてきた。
「何も変わらないさ」
「…なんでぇ…?」
「おちんちんが付いただけだろう、大したことじゃない」
「っつ〜〜〜!?大したこと、ですよっ!」
何言ってんだこの人!
天変地異レベルの出来事だろうが!
冷静になりつつあった意識が再び暴走して、涙がぶわっと溢れた。
もう意味わからん、全部意味わからん!
「そんなに泣くな。かわいいお顔が台無しだぜ」
「っんなこと、気にしてる、場合じゃっ…〜っ、う!?♡」
「安心してくれ。これからはちゃんとコッチも可愛がる」
「ひゃ、あ♡ んゃっあっん♡ っあ、うう〜…♡」
くちっくちっ、と独特の音がする。
男の人の大きくて骨ばった手が、あたしのアレを軽く扱いているんだ。
「んは、ぁあ♡ や、おちんちんだめっ♡ さわんなぃ、でえ♡」
「もう気持ちが良さそうだ…♡ 敏感なおちんちん、かわいいぞ♡」
「え、あ!?♡ ああああ〜〜〜!?♡♡」
急に襲ってくる、ぬるりとした温かい感触。
ビックリして身体を起こすと、アレを口に含んでいるダンデさんと目が合う。
嘘、嘘でしょ、この人、あたしの、嘘、あ、あ
「あっ、いや、いやっ! はなし、っんく♡ ん、う、うあぁあ〜やだあぁあ〜♡」
「今日はそればっかりだな…♡ でも、こっちはピクピク喜んでるぞ♡」
「あく、ううう〜っ♡ んやあ〜♡ おくち、やめてぇ♡ やめてくださぃぃっ♡」
「逃げるな♡ 俺がおちんちんを可愛がっている所、ちゃんと見るんだっ♡」
「っっひいっっっ!?♡ あ〜!♡ わか、りまひたっ♡ からあ♡ じゅるじゅる、しないでえ♡」
目を瞑って現実逃避しようとすると、キツく吸われて頭がおかしくなりそうだ。
訳が分からず見つめているとダンデさんは先端を刺激し始めた。
もどかしくて腰が揺れると、ニッコリ笑ってフェラを…
「あ〜っ〜っ♡ いく♡ でちゃうぅ♡ しゃせいするっ♡ せぃしでちゃぅ〜♡♡」
「は、いいぞ♡ 怖がらずにイくんだ♡♡ ナナシのかわいいおちんちん射精しろっ♡」
「ああああっ♡ はなして♡ はなしてえ♡ おくちにでちゃう♡ ぉくちにでちゃうううう♡♡」
限界だから離してくれと何度懇願しても、ダンデさんは無視。
それどころか、ぢゅうううっと強く吐精を促されて、イくことしか考えられなくなる。
「んゃあああぁぁぁあっだめえぇえええ〜♡♡♡」
おしっことは違う、何かが迸る感覚に全身がビクビクと震えた。
強制的にイかされ続けた後のような凄まじさに、呼吸さえ忘れてしまう。
「あ…♡ あああ…♡ う、そ…♡」
「ん♡ ナナシ、精通おめでとう♡」
舌で唇を拭うダンデさんを呆然と眺めるしかない。
この人、この人、飲んだ。
「〜〜な、なんでっ、なんでそんなのっ、のむんですかっっ」
あたしが、あたしのアレから出たもの、を。
「ダンデさんのおばかあ〜〜っっ」
疲労感で思うように動けないのが恨めしい。
あたしはまた泣きながら、筋肉質な腕をバシバシと叩くのだった。
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