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(あーあ、セックスしたい)

晴れ渡る青空を見ながら何言ってんだ、って感じだけど。
女だってムラムラするんだもん、仕方ないじゃんね。

(でもこの身体じゃなあ…)

ガラスに映る自分の未熟なボディにため息。
中身は変わらないのに外見ロリってやっぱきっついわ。制約ありすぎ。

ちなみにこの世界に来てひと月以上経ってわかったことは、月イチのアレはないということ。
どうやらこの身体はまだ大人の階段を上っていないらしい。
毎月腹痛なんかに悩まされないのはありがたいけど、ガチでお子様ボディじゃん。笑えなっ
あーでも妊娠しないっていうことは避妊が要らな…って我ながら発想が下品すぎる。

(でもエッチしたいのは悪いことじゃないし)

ランジェリーショップでおねえさんと盛り上がったあたしは、正直ムラムラしていた。
この世界に来てからは新しい事の連続でそっちを意識する余裕もなかったんだけど。
先程の下着トークで、紐パンに喜ぶ男の人たちを思い出してこう…ね。

(でもこの姿じゃセフレなんて難易度高すぎ…)

てか犯罪だし。当然ながらガラルでも未成年との淫行はご法度だ。その辺はどこでも一緒よね。
ちなみに18歳から成人。つまりあたしが合法的にセックスできるのは少なくとも5年後。多分。

え?ちょっと待って。そんだけ長い間ひとりで解消しろってこと?エグくない?
ないわーそれはないわー

「ナナシくん、どうしたんだ?さっきから溜息ばかり吐いて」
「三大欲求のひとつが」
「うん?」
「何でもないです」

あぶなっ!ポロッと言っちゃったよ。
でもダンデさんキョトンとしてるし、多分聞こえてなかったよね?
それにしても書類に向かっていたダンデさんが声をかけるほどため息ついちゃってたのか。
お仕事の邪魔になんないよう静かにしてるつもりだったのに…あたしのバカ!

でも女にも性欲はあるんです。そしてあたしは気持ちいいことが大好き。
男の人だって好きでしょ?イイこと。だからそう、イーブンですよイーブン。平等平等。
うん、誰に言い訳してんだって感じだな。

「もしかして眠いのか?朝早かったからな。それなら昼寝でもするといい、向こうにはベッドもある」
「この部屋ベッドもあるんですか?」
「シャワーもあるぜ。必要な物は備わっているんだ」
「いいなー」

いやほんと羨ましいな。あたしも早く自分の家ほしい。
そしてダンデさん、聞こえてたんですね?でも三大欲求の睡眠欲をピックアップしてくるあたり彼らしい。
…いや、普通に考えて女の子と性欲発言が結びつくわけないわ。

「気にせず使ってくれ。まだ時間がかかりそうなんだ」
「あ〜…いえ、大丈夫です。眠いわけではないので」

寧ろムラムラしてるから危ないんですよ。この状態で横になったらシたくなっちゃう。
あーもう性欲持て余すロリってなんなの?完全にバグってるでしょ。身体と共に性欲も小さくなれよ。

「遠慮しなくてもいいぜ?」
「遠慮というか…どうぞお気になさらず」

適当に誤魔化していたあたしをじっと見つめていたダンデさん。
が、何か思いついたようにぽんと手を打った。

「よし、一緒に休むか」
「え!?」

なぜそうなる!?



仮眠室という性質からか、そこはとてもシンプルで清潔感のあるスペースだった。
無駄なものは一切なく、当然生活感もない。あまり使わないって言ってたし、そりゃそうか。
落ち着かなくてダンデさんを見ないようにしているけど、マントを外した音とか、ベッドが軋む音とか、やたら大きく聞こえる。

「ナナシくん、おいで?」

ニッコリと笑ってポンポンとベッドを叩くダンデさん。
この人、何気に色っぽいんだよな…雄フェロモンむんむんっていうか。
普段が少年っぽいだけに、こうしたギャップにクラクラする。
しかも鍛えられた胸筋やばい。あたしマッチョ好きなんだよね…セフレにもこんな感じのマッチョいた。

「いや、ダンデさん、あたしほんとに大丈夫ですから。どうぞ横になってください」

無理無理無理!こんな逞しい身体とベッドインとか無理だって!
完全に生殺しじゃん!どんな苦行なんだよ!罪深いわ!

「ナナシくん」

あ。ダンデさん、こっちの意見を聞く気ないっぽい。
それどころか、さっきの笑顔と違って―――黄金色の瞳であたしを見据える。

「おいで」

あ。これ命令だ。眼力凄いし、有無を言わせない圧がある。
ダンデさんこんな技使えるんですか?聞いてないよ〜




2021.09.20