ハイキュー(転校生主) - 春風


「あー!!腹減ったべやー!!」
「お腹が空いて動けねぇ…」


「あ、翔陽」
「えっ、蘭!!」


「今から帰り?…にしても、なんか遅くね?」
「先生に色々雑用任されてたの。…ホラ、私これでも一応委員になっちゃったから」

イヤホンを外して肩に掛ける。そのまま自然と並んで歩き始めた二人は、更に会話を続けた。


「ほんと、イヤになっちゃうわよね。なんで成績なんかで委員が決まるのよ、意味分かんない。私だって、そんなもののために新入生テストに力入れたワケじゃないわ」
「でもさ、蘭って成績すんげーイイんだろ?俺はバカだから分かんねーけど、悪いよりはいいじゃん。それに、通知表返ってくるときビクビクしなくて済むしさ」
「…なんでそんなに限定的なトコで喜ばなきゃいけないのよ。翔陽ってほんと面白い思考回路しているわよね」
「なっ!バカって言うなよー!!バカはバカなりにこれでもちゃんと考えてんだからな!」
「バカなりにって…」
日向のそんな返答に、蘭はクツクツと喉を鳴らして楽しそうに笑った。

──ヘェ、意外。あんな笑い方するんだ。
月島は内心驚いていた。

すると彼女は、自身の学校指定の鞄にゴソゴソを手を突っ込み、何かを取り出して日向へグイッと押し付けた。

「はい、これあげる。部活お疲れ様」
「…えっ」

日向が驚いた声を出しつつも反射的に受け取ったのは、今流行りの健康志向の高いチョコレートであった。

「え!マジでいいの?!サンキュー!あ、これ最近すんげーCMやってるヤツじゃん!」
「そう。あんな美人な女優出してCMしてるんだから、一体どんくらい美味しいんだろって思ってつい買っちゃったの」
「味はどーだった?」
「悔しいけどそれなりに美味しいわよ」
「アハハ!悔しいけどってなんだよー!」

母親のような慈愛深い柔和な切れ長の目に、月島は何も言えなくなった。


「そーだ蘭、家までチャリで送ってこーか?」
「…でも、翔陽って確か山越えして帰るんじゃないの?」
「だいじょーぶ!蘭ん家って確か坂ノ下を左にギュン!って曲がって真っ直ぐ行ってちょっと行ったとこだろ?そんくらいの距離くらいヨユーだって!」
「……ギュン!にはツッコんどいた方がいいの?」

はい!乗って!そう言ってママチャリの後ろをバンバンと叩いてみせた日向。蘭は少し躊躇してみせたが、やがて諦めたかのように小さく笑ってそこへ跨った。
暗闇でも分かるくらいに、まるで雪みたいに真っ白で肉付きの良い太腿が露わになる。思わず月島と山口を始め、部員たちは視線を逸らした。


「じゃあ先輩!俺お先失礼します、お疲れッした!!」
「あ、お、おぅ、お疲れ」





「お、おま!日向!昨日のあの子、う、噂の転校生じゃねーか!!」
「ああ!アイツ蘭っていうんです!」


「話してみると、面白くってスゲーいい奴です!」



「確か、月島くんだっけ」



「…僕のこと、なんで知ってるの?」
「翔陽がよく話してるから」
「うわ、最悪。絶対変なこと話してるデショ」
「うん、意地悪眼鏡ノッポだとか言ってたわ」
「…だろうね」

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春風