王様と猫 - 春風
慮外千万な逢着

「ほな、また明日。おやすみ」
『うん、また明日ね。おやすみ』

日課である蘭とのチャットが終わり、パソコンの電源を切る。
蘭とは、一年くらい前にSNSで会話をしていくうちに、趣味が似ていることもあり妙に気が合って、こうしてチャットもするようになった。

初めて顔をお互いに画面上で見た時のことは、今でも鮮明に覚えている。想像以上に美人だったことに驚きつつも、妙にあっさり──と言うよりもばっさりし過ぎとる性格は、俺のような根暗な人間としては、喋っていて気が楽で落ち着いた。
今では、数日おきにチャットで会話するくらいの仲だ。お互いがお互いのことを気の合う友達だと思っている。


「……」

──蘭は、中学二年という義務教育を受けている年齢にも拘らず、家庭の事情で一人暮らしをしている。
その事情を聞けるくらいには心を許して貰えたということが、内心嬉しいことは、墓場まで持っていかなあかんくらいの秘密やと思う。

自分と同じ年の学生が、大人に頼らず一人で暮らしている。きっとそれは、俺が思い描く想像以上に大変で、不安なことなのだろうと思う。せやから。


──今は、ただの気の許せる友達の位置でええ。

実際顔を合わせたことすらない相手にこんな感情を持つなんて、アホらしい。
アホらしいけど、生まれてしまったモンはしゃーないんや。


- 続 -

- 6 / 6 -
春風