君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



「土方先生」
「…あぁ、総司か。何だ?」


連絡を終えた土方先生が教室を出て行ったので、僕は廊下に飛び出して慌てて呼び止めた。


そう。今から、腹の探り合いだ。


「………昨日の放課後、どこに行ってたんですか?」


すると、土方先生の動きが一瞬だけピタッと止まったのを、僕は見逃さなかった。


「……お前には関係ねぇことだよ」
「…へぇ〜?生徒には言えないくらい、何かやましいことなんですか?」


土方先生の本音を探るために敢えてこんな挑発的な言い方をしているけど、僕は内心ドッキドキなんだよね。
もしも、土方先生と蘭ちゃんとが、そういう仲だったらどうしよう、って。


「………何が言いたい?」
「嫌だなぁ、土方先生。そんな恐い目をしないで下さいよ。ただ僕は、純粋な興味で聞いているだけなんですから」
「フン、どーだか。俺は、お前が純粋なんて単語が一番似合わねェ男だろうと思うがな」
「アハハ、それって凄い失礼ですね」


会話は半分ふざけているのに、土方先生の目は笑ってなんかいない。勿論、僕もだけどね。


「………分かったよ、言えばいいんだろ?ただ具合の悪かった生徒を家に送ってたんだよ。どうだ、これで満足か?」


ドクンッ


土方先生は、時間がもう随分と経っていることにか、不機嫌そうに眉間に皺を寄せているが、僕はもうそれどころじゃないんだ。80%ぐらいだった僕の予想は、100%の予想に変わった。


「………その生徒って、東雲蘭ちゃんですか?」
「!?」


土方先生の驚いた顔。それが、100%の僕の予想が、事実に変わる切っ掛けになってしまった。

- 2 / 4 -
春風