君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



千鶴ちゃんと分かれて向かったのは、勿論、蘭ちゃんの家。


ピンポーン


「………こんな凄いマンションに、一人暮らしなんだ……」


住人に紛れてマンションの中に入り込んだ僕は、蘭ちゃんの家の前に来ていた。

何で知ってるかだって?それは僕の情報網の賜物だよ。


………ガチャッ


ややあって、チャイムに対する応答はなしに、扉が僅かに開いた。ねぇ蘭ちゃん、折角のこんなセキュリティの高いマンションなのに、これじゃ不用心過ぎると思うよ。


「はい―…って!」
「こんにちは、沖田です、って……っ///!!?」


僕が驚いた訳は、蘭ちゃんの格好にある。

何故なら、今の蘭ちゃんは、体にバスタオル一枚を巻いただけだったから。
長い漆黒の髪はアップにされていて、そこから雫が垂れている様子や、頬がほんのり上気している様子を見る所、お風呂上がりみたい。


………じゃなくて!!


「何でそんな格好なの!?何の警戒もなしにドアなんて開けたら駄目じゃないか!!」
「………何で、アンタにそんなこと言われなきゃ―」
「うるさい!いいからさっさと中に入って着替える!ほら!」


僕は、蘭ちゃんから目を逸らして言った。そうでないと、どうしても僕の目線は、蘭ちゃんの胸元にいってしまうんだ。ホント、男の悲しい性だよね。


「………その間、沖田はどうするの」
「ここで待ってる。だから早く―」
「客を外で待たせるなんて、どんなに非常識な日本人よ。入って」


グイッ


そう言って蘭ちゃんは僕の手首を掴むと、家の中へと引っ張りこんだのだった。

ちょっとこれ、色々おかしいよね。って思う僕が、一般の考えで間違ってなんかないよね?


とにかく今から蘭ちゃんには、言いたいことが山のようにある。




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春風