君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



「えっと………。こんな後になんなんですが…私で良ければ、相談に乗りましょうか?」


何でだろう。何でこんなことを言ってしまったんだろう。
ただ、ここで引き下がったら、沖田先輩と蘭ちゃんとが、そのまま仲良く付き合っちゃう気がした。

そして私は、二人ともから置いてけぼりになる。


「………」
「あ、その、もし良ければなんで、あんまり気にしないで下さい!」


けれど、どうやら不発だったみたいで、私は慌てて言った。でも、改めて考えたら当然の反応だよね。
だって数分前に、私はその沖田先輩に告白しているんだから。


でも。

次の瞬間、沖田先輩の顔が、パァッという音が付く程にまで、目に見えて明るくなった。


「それ本当!?」
「…っ、は、はい!でも、私なんかで良ければなんですけど―」
「ううん!蘭ちゃんと仲の良い千鶴ちゃんなら、もう大歓迎だよ!ありがとう!」


すると沖田先輩は、私の手を握ってブンブンと振った。よっぽど嬉しいみたい。
こんなにもテンションの上がった先輩を見たのは今までで初めてで、口元がつい綻んでしまった。喜ばれているのは私のことなんかじゃないのに、どうしてか私は錯覚してしまう。


「ありがとう千鶴ちゃん、何だかスッキリしたよ」
「いえ、そんな―」
「ううん、本当にありがとう。じゃあまた月曜にね」


沖田先輩はそう言うだけ言ってさっさと行ってしまった。


ポタッ


先輩の姿が見えなくなると、私の目からは自然と涙が溢れて零れ落ちていた。涙は止まろうとしない。


ポタッ ポタッ


「…うぅっ………」


嗚呼、私はこんなにも汚ない。
沖田先輩に感謝してもらう人間じゃないのに。でも自らそれを選んだのは、私の筈なのに。


「……もう、分からないよ……」


何で今私は、こんなにも悲しくて、虚しいんだろう。

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春風