君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



家の門の前に立ち、インターホンを押してみる。すると案の定、柔らく穏やかな、でも何処かしら不安を拭い切れていない声が、私を歓迎してくれた。


「態々ごめんなさいね、蘭ちゃん。蘭ちゃんも忙しいのに」
「いえ、私は大丈夫です。…あの、千鶴は」
「千鶴…あの子ったら、全然降りて来ないのよ。全く、ご飯も食べないで…どういうつもりなのかしら」


千鶴のお母さんにリビングに通された私は、どうぞと言われてフカフカのソファに浅く腰掛けた。

すると、廊下からタタタタタッと足音がしたかと思うと、刹那リビングの扉が勢い良く開け放たれたので、思わず反射的にそちらに顔を向ける。
そこには、水玉模様のパジャマ姿で、目を兎みたいに真っ赤にした千鶴が、その泣き腫らした目でこちらを見つめていた。


「蘭、ちゃ、ん……」
「まぁ!コラ、千鶴!あなた、何て酷い格好なの―」
「うわぁぁあん!蘭ちゃ、蘭ちゃんん………」


お母さんの静止の声を振り切り、千鶴は私に飛び付いて、その顔を私の胸に押し付けて来る。

私のいつも見ている千鶴は、いつも笑顔でフワフワしてて、化粧こそあまりしないものの、身だしなみにはいつも気を使っている子なのに。千鶴をこんなにまでボロボロにした沖田を、私はやっぱり許せやしない。


「千鶴。上、行こっか」


そのか細く小さな背中を撫でながらそう声を掛けると、未だ私の胸の中で小さく首を縦に振る千鶴。不謹慎ながらも、小動物みたいで可愛いな、なんて思ってしまう自分が憎たらしい。

取り敢えず、千鶴を立たせてお母さんに断りを頂いた。悪いわね、と眉を潜めながら言った千鶴のお母さんは、どこか不機嫌そうで、千鶴の態度を良く思っていないのは確かなのだろう。
私は、千鶴と二人で二階へと上がった。その間も、千鶴はずっとしゃっくり

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春風