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・お試し文。
・たぶん6章〜7章の間。
・メモ形式と文章形式を織り交ぜるので非常に読みにくい。






「今回の特異点の場所は、イギリスだ」
「イギリス」

特殊な特異点が発生した──そうマシュから報告を受けたオレは、いつものようにマシュと一緒に中央管制室に足を運んでいた。
魔術王ソロモンが作り出した7つの特異点以外にも、小さなひずみをきっかけに発生する特殊な特異点。今回もそういったもののひとつであるらしい。オレはドクター・ロマンの説明を受けながら、ブリテン島を模したホログラムを見つめた。
マシュが眼鏡の向こうで瞬きしながら、ドクターに質問する。

「4つ目の特異点──魔霧が発生したロンドンとは違うのですか?」
「座標が違うのさ」

ドクターの代わりに答えたのは、彼の後ろからひょいと顔を出したダ・ヴィンチが顔を出した。

「前の特異点はイギリスの首都ロンドン。今回の特異点は、イギリスの、何もない、山奥だ」
「何もない…?」
「過去から現在に至るまで、“そこ”が歴史のターニングポイントになったことは一度もない。歴史上、ただの一度もだ。なにもない場所が特異点になってしまうほどの何かが、"そこ"で起こっているのかもしれない。もしかすると、人類史における決定的な"事変"にすらなっているのかもしれないよ」

それってつまり、今回の特異点は魔術王が作り出したものに匹敵する脅威となりつつあるという事では?
わりと怖いことを言っている自覚があるのかないのか、彼ないし彼女の目は爛々と輝いている。乾いた笑いを零しながら、先を促してみた。

「イギリスに詳しい英霊を連れて行ったほうがいいかな?」
「イギリスと言わず、近現代に詳しいサーヴァントを連れて行った方がいいかもしれないね」

ロマンは腕を上げて、画面上に表示されているカーソルを何度か動かした。ウインドウが開いたり閉じたりして、4つの数字が表示される。

「特異点が在るのは20世紀末だから」





「なるほど。そういう事情であるならば、私も同行しよう」
「助かるよ。エミヤ」

ドクターの言う通り、近現代の事情に精通している英霊をしらみつぶしに探し歩き、食堂で赤いアーチャーを見つけたオレはさっそく新しい特異点の話を持ちかけてみた。カルデアで召喚されてからというものの、すっかり食堂を牛耳っている英霊の一人だ。
彼──エミヤの、英霊としての出自は他の英霊とは異なるという。生前は近代と生きていたのだ、と彼が口にしたことはないが、彼の料理のレパートリーが彼の生きた時代を、国を物語っていた。思うに、15世紀を生きた英霊は、鮭の塩焼きに卵焼き、おひたしに味噌汁という日本のごおくありふれた献立を用意できない。

「しかし…20世紀末を生きたサーヴァントか。カルデアにいる奴らはみな、過去を生きたものばかりだと思うが」
「そうですね…。先輩、エミヤさん以外に心当たりは?」
「うーん…」

頭の中で、それらしい英霊を思い浮かべる。申し訳ないけれど、神話の英霊達には今回ばかりはお留守番してもらおう。暴走しがちな英霊も忘れてはならない。うんうんと頭を捻っていると、食堂の扉がすうっと音をたててあいた。

「まあ、マスター。おやつの時間かしら?」
「マリーさん」
「はいはい!マリーさんよ!」

鈴のように軽やかな声をあげたのは、マリー・アントワネットだ。エミヤと同じように特異点の事情を説明すると、マリーはダ・ヴィンチちゃんよりもはるかに純度の高いきらきらを瞳に浮かべた。

「お祭りが始まっているのね!そういう事なら、彼もお招きしたらどうかしら」
「彼?」
「この間マスターが召喚したキャスターよ。彼もエミヤと近い時代を生きているでしょう?」

思わずマシュと目を合わせる。
彼──キャスターが自分の出自をにおわすような発言をした事はない。

「マリー。どうして分かったの?」
「だって、彼、とっても料理がおいしいんだもの」
「彼も料理をするのか?」
「アマデウスと、前にご馳走になったのよ。彼の作る料理はエミヤのようなお食事ではなくて、お酒と一緒に嗜むものが得意だそうだけれど」

へえ、と曖昧な返事をする。どうやら彼女は、オレがエミヤに感じていたものと同じ何かを感じ取っていたらしい。
マリーに礼を言って、オレとマシュはカルデアのどこかにいるであろうキャスターの姿を探した。オレやマリーが彼をクラス名で呼ぶのは、他人行儀にそうするわけではない(マリかれうーがそんなことするわけない)。単純に、彼の真名を誰も知らないからだ。

「キャスター」

このカルデアで、あまりにも英霊の数が多いここで、英霊のことをクラス名で呼ぶ者はほとんどいない。だから、“キャスター”と呼ばれるのが誰なのかみんな知っているし、呼ばれている彼も分かっている。だから今回もそうして呼びかけると、彼はやはり振り返ってくれた。

「ああ、マスター。どうした?」
「実は──」





「先輩」
「うん?」

カルデアの人たちが忙しなく動いているその隅っこで、オレとマシュは大人しくレイシフトの準備が終わるのを待つのみ。今はまだ、カルデアの制服に身を包んでいるマシュが不意にオレの名を呼んだのはそんな時だった。

「昨日のキャスターさん、少し様子がおかしくありませんでしたか?」
「やっぱり?」

思い出すのは昨日の廊下でのやりとりだ。
オレはエミヤやマリーにしたのと同じように、特殊な特異点が発生したとキャスターに話して聞かせた。今回の特殊な特異点が発生した場所が、20世紀末のイギリスの山奥だと。レオナルド・ダ・ヴィンチにまで“何もない”場所”であると断言されるほどの場所で発生していると言って聞かせた時の、キャスターの顔を思い浮かべる。
僅かに刮目した赤い瞳。何かをこらえるように、小さく動いた唇。分かりやすく言うならば何かを『言い淀んだが沈黙を選んだ』キャスターは、ただ了解したとだけオレとマシュに告げた。何を言い淀んだのか、彼を知らなさすぎるオレには検討もつかない。

「今回の特異点に心当たりがある──とか、さすがに考えすぎかな」
「分かりません。ですが、彼は戦いにおいて重要なことであれば、必ず伝えてくださると思います。気まぐれで口を閉ざしたりするような人ではないかと。黙するのならば、理由があるかと思われます」
「理由か…」

ぼんやりと言葉を口にしていたら、遠くでドクターがこちらに手を振っているのが見えた。どうやらレイシフトの準備ができたらしい。
疑問は解決しないまま、オレは自分のコフィンの中に入って、目を閉じた。

《全行程 完了。》
《グランド オーダー 実証を 開始 します》

機械的なアナウンス。青い光。いつものように、目蓋の裏まで貫くようなまぶしい光。まるで渦を描きながら飲み込まれていく感覚だ。










ぱち、と目を開けたそこには、鬱蒼とした森があった。

「…マシュ?」

右も森。左も森。視界は暗く木々はうっそうと茂っていて、晴れているのか曇っているのか、昼なのか夜なのかそれすらわからない。そして、オレは一人きりで森に立っていた。こんなことは初めてだ。

「マシュ?フォウ?おーい!」

なんとなく大声を張り上げてみたけれど、返ってくる声はひとつもない。しんとした森はなんの音もなく、生きものの気配もなかった。これじゃあ、オルレアンの森やアメリカの木々の方がもう少し生きてる、って感じがしていたと思う。

「ドクター?ダ・ヴィンチちゃん?」

通信機を叩いてはみたもののなんの反応もない。壊れた?まさか。
一気に恐怖がこみあげてくる。ごくりと喉を鳴らした時、ざわっと周りの空気が冷えだした。

「(なんだ、あれ)」

黒い布を被った何かが、冷気を纏いながらこちらにやってきているのを見つけた。あれはなんだ?シャドウサーヴァントなのか、ゾンビなのかはわからない。でも、間違いなく関わっていい類のモノではないということは、さすがのオレにも分かる。もしかすると、6つの特異点を突破するうちについに身についたカンってやつかもしれない。走って逃走すべきか、ゆっくりと後退すべきなのか分からないけれど、ともかくオレは一歩、右足を後ろに引いた。
後ろに引いたのがまずかったらしい。黒い布を被った何かはスピードをあげて、オレの方へと飛んできた。

「…ッ!」

今度こそ躊躇いを捨てて走り出す。ああ、今日身に着けている礼装はどうしてこんな時に限って魔術協会制服なのだろう!カルデアのスタッフさんが総出で作ってくれたカルデア戦闘服なら、あいつにガンドの一発でもおみまいしてやれるのに!

──やめて!許して!

こんな時に限って、いやな記憶ばかりを思い出してしまう。
冬木で犠牲になったオルガマリー所長。オルレアンでエネミーに喰われた町の人たち。ローマの街で、オケアノスの海で。ロンドンで、北米で、東の村で、砂漠で、犠牲になった人々。彼らは歴史に記憶されない。なかったことになったからだ。歴史は修正され、特異点は消えた。彼らさえも。どうしようもないって分かっているいるけれど、でも──。
無性にこみあげてきたくやしさと恐怖が、オレの足をもたつかせた。どうして、思い出さないようにしてきたことまで思い出してしまうんだ。あ、と声をあげる前に、オレは地面に顔を打ちつけていた。ズルズルと、布を引きずる音と生臭い息がのしかかってくる。声も出なかった。だって、その布の内側にあったのは。

「──エクスペクト・パトローナム!」

不意に頭上が明るくなった。銀色の光が大きな、白鳥みたいな形になって、黒い布にぶつかっていった。ずっと遠くまで押しやられた“ソレ”は、銀色の光がずっと向こうに飛ばしてしまった。

「マスター。よかった、もう少しでキスされるところだった」
「キャスター…」

怪物とキスなんてごめんだよ。普段だったら、そんな軽口で彼に答えていたかもしれない。けれど今は、どうしようもなく寒くて、オレはされるがまま助け起こされていた。冷えてるな。彼はそう言って、自らが纏っていた黒いローブを脱いだ。

「霊子だし、気休めだけど着てろ。マスターはあいつらにとって格好の餌らしいしな」
「キャスター、あれは何?」
「…怪物だよ。ゴーストみたいなもんかな」

一瞬言い淀んで答えをくれた彼は、あの日みたいな顔をしていた。

「ともかく移動しよう。レイシフト先がまさか本当に"ここ"だなんて、どうかしてる」
「?キャスター、ここを知っているの?」
「…ああ。嫌ってほどな」

キャスターは俺の腕をつかんでしっかり引き寄せると、問うた。

「マスター、マシュはどこだ?」
「それが、いないんだ。最初から一人だった。通信機も壊れちゃってて、カルデアとも連絡がとれないんだ」
「…とりあえず彼女を探そう。カルデアとの連絡はなんとかできる」
「え?できるの?」

キャスターはもう歩き出していたので、オレは疑問を頭の隅に押しやって、彼の後を追うことにした。

キャスターの武器は、短い杖だ。
そこから青白い光を放って、エネミーを攻撃するのをよく見ていた。けれど今回彼は立ち止まっては手のひらの上でコンパスのように杖を回しては進んでいる。杖の先は何かの方角を指しているみたいだったけれど、オレにはわからなかった。

「それ、どこを向いているの?」
「北だ。こんな森の中で堂々巡りしても無駄だからな」

なるほど、と思った。
森の中は磁場が狂ってしまって、コンパスが役に立たないような場所もあると聞いたことがある。オレはふうん、と返事をして、キャスターの後を追った。彼と二人きりになるのは初めてだ。だいたいマシュか、ほかの英霊が一緒だから。だから気まずいというわけではないけれど、まあ、会話に詰まる。
今までのキャスターのことを思うに、彼はあまり人とおしゃべりしたがらないのかなって思ってしまう。寡黙ってわけでもない。だって、ジャックや小さいギルガメッシュなんかとはよくおしゃべりしているのを見かけていたから。子どもが好きなのかなって思うくらいには、彼らは打ち解けていたように思う。やきもちなんて焼いてない。閑話休題。

「──町だ」
「えっ」

下を向いていた顔を上げる。いつのまにか森を抜けていた。眼下には穏やかな川が流れていて、そのほとりに、確かに町がある。

「マスター。あそこに魔術の気配がある。たぶんマシュだ」
「ほんと?敵…じゃないかな」
「敵じゃない。この世界には、魔術師なんてものもいないからな」
「そうなの?」
「ああ。──オレは霊子化しておく。何かあったら呼んでくれ」



+++++++++

これからマシュと合流してここは魔術の代わりに魔法が秘匿されている世界〜なんて説明が入るんだと思います。
この特異点の年代──具体的に言うと1999年よりもずっと昔に、魔法が確立された世界。魔術と同じように秘匿されてきたから、ふつうの人は知らないのだということ。
魔術の確立していた現代にはないものもあるし、存在しないはずの生きものもいる。神代に誕生した生物がそのまま生きていたりなんかもする。なんて説明されて絶句するマスターとマシュ、そしてカルデア勢。
ちなみになぜ通信ができなくなっていたかというと、本当に壊れていました。魔力で満ちていた森の中。物資と一緒に新しい通信機も送ってもらって、さて今回の特異点の原因は何?という話になる。

兄「(あいつだろうなあ…)」

思うだけで口にしないタイプのお兄ちゃん。思い出すも腹立たしい闇討ち。
いやもうこれでウルトラハッピーエンド確定でしょ、と油断したときに放たれたまさかの一撃、という名のアバダ・ケダブラ。あの後戦いがどうなったのかなんてもちろん分かるわけもない。死んだしね。
いったい誰が自分を殺したのか分からないけれど、この特異点を探っていけば自分の死の真相も分かると踏んだ兄は積極的にマスターに助言します。

まずは情報を集めること。
新聞の記事なら、図書館にあるのでそこに行くこと。
マシュはいったん装備を解いて、町になじむように霊子を組み替えること。

+++++++++



「キャスター、あったよ。シリウス・ブラックって人の記事」
「オーケー、分かった。確定だわ。ここ、俺の生きてた時間軸に間違いない」

町に馴染むように──マシュをギンガムチェックのワンピースとレモンイエローのパーカーというかわいらしい服装になるよう霊子を組み替えさせたのはキャスターの助言だ。正直言ってばつぐんにかわいい。キャスターはセンスがいいらしい。

「じゃあ、この世界のことも分かる?」
「だいたいはな。どこを目指せばいいのかも」

同じく現代の装いに霊子を組み替えたキャスターは、どうやら人目を避けたいらしい。髪の色や目の色まで変え、パーカーを深く被る徹底ぶりだ。彼は少し考えるように息を吐き出すと、新聞の記事をめくり直して、もとの場所に戻した。

「目指す場所は決まった。今日は8月31日だったな」
「ええ」
「それじゃ、明日はキングス・クロス駅に行こう。今日のところは宿をとって休むべきだ」
「電車に乗るんですか?」

マシュの声が若干はずんでいる。それもそうか、とオレは声を飲み込んだ。マシュは、カルデアから一歩も外に出たことがない。

「残念。汽車だ」


+++++++++

ホグワーツ特急にこっそりの乗り込もうとするけど、なんと入口には死喰い人の見張りがうろついていたのであえなく断念。陸路で向かうことに。膨大な時間がかかるだろうところは兄がセストラルをどこからともなく調達してくることでオッケー。(姿くらましなんてまさか!)(HAHAHマーリンの髭!)
これから先は魔力が濃くなるからカルデアとの通信もうまい具合にいかなくなると説明。まじでいつボン!って壊れるか分からないからね。ダ・ヴィンチちゃんが渋い顔するけどリツカくんがマジで壊れてうんともすんとも言わなくなったよ!って援護射撃してくれるからオーケーオーケー。
空路でホグズミード村まで行って、そこから城に潜入する流れでいこうと画策。情報収集も欠かしません。

「あの泣き虫ハー子ちゃんが一級指名手配犯かぁ…世も末だな」

村で魔法界の情報を収集してきたお兄ちゃんがリツカとマシュに魔法界の事情を説明。どうやら最悪ここに極まれりっていう言葉に相応しい状況になっているらしいですぞ。テンパリすぎて思わず教授の口調を真似してごまかす兄。ごまかせてない。
ところで、俺、この非常事態に飛び出したらフツーに蘇ったと思われるよね?何回目だよこういうの。どうしよう。
などといつものテンションで考えているなどと表情にはおくびにも出さず淡々と情報収集に努めるお兄ちゃん。

なにはともあれ話は進む。

ホグズミードから荒涼とした郊外へ続く道にある簡素な住宅街。山の麓にある柵のところで道の角を曲がると、岩肌の、険しい道に出る。そこの隙間にある小さな洞穴を隠れ家として、リツカとマシュとお兄ちゃんは代わる代わる交代で外に出る感じ。リツカとマシュは魔法使いに扮して現在の魔法界の情報収集。お兄ちゃんは城の領域へ侵入してホグワーツの状況を確かめる。
まあでも、いつまでも穴倉に隠れているというのは息が詰まるもので。

潜入しよ、ってなって、お兄ちゃんが姿を隠して潜入するやつ。
ホグワーツの制服はそのへんから調達するって感じで。

「どうやって城に入るの?」
「ルートはいくつかある。けど、前に全部潰されちまったからな…。残っているやつも、機能するかどうか」

なんやかんや探している途中で、100人が100人ドラコ・マルフォイ二世だろと断言するほど似ている金髪のお坊ちゃんを発見した三人。
ここから話が動いていけばいいな〜!!




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