何とか海軍から逃げ出せる事に成功したルフィ達はやっと肩の力を抜く。
「おい!おいおいおい!!ウソップ知らねェか!?居なくなっちまった!!!」
「ウソップ――――!!!」
(おら呼んでるぞ!!)
(い…いやイカン!我に返ってみると…)
逃げれたことや勝利の喜びに浸っていたのだが、戦いの中では居たウソップが居ないことにルフィとチョッパーは気付き慌てる。
だがウソップは仮面を外すことなくそげキングとして演じてしまった為サンジに蹴りを入れられてしまった。
(あいつら一体なにをもってウソップと認識してんだ…?)
「ちょっと聞いてるの!?ゾロ!!!!」
「あだっ!…てめェナミ!!行き成り殴ってくんじゃねェ!!!」
「何言ってるのよ!!!アンタが人の話し聞かないからいけないんじゃないの!!!!大体アンタが居たって言うのになんでアスカが攫われるのを止めなかったのよ!!!」
「知るかァ!!おれだけのせいじゃねェだろ!!お前も居ただろ!!!」
仲間を奪還し戦いを終えた後、ゾロが待っていたのはナミの容赦ない説教だった。
疲れ果てていたのにナミの説教に体を休ませる暇もなくナミとの言い合いに体力を使う。
「あぁ!!可哀想な私のアスカ!!男どもが不甲斐ないばかりに知らない男に体を弄ばれ心にキズをおってしまって…!!!お嫁にいけないじゃない!!!あんたたちのせいで!!」
「あ!?嫁だァ!?あいつに嫁の行き先なんてあんのかよ!!」
「なんですって!?」
「料理はダメ、掃除もダメ、女らしいとこなんて1つもねェだろ!!!」
「女らしいとこなんて一杯あるじゃない!!!可愛いトコとか可愛いトコとか可愛いトコとか!!!!何よりか弱い私を助けてくれる優しい心を持ってるじゃない!!!あんたってホンット見る目ないわね!!!そんなんじゃ悪い女に捕まって一生苦労するわよ!!」
「余計なお世話だ!!大体可愛けりゃなんでもいいわけじゃねェだろ!!!いい加減目を覚まして現実を見ろ!!!」
ナミとゾロが口喧嘩していると船を見て回っていたアスカが現れる。
アスカは見て回ってもだれもいない事を知らせようと口を開きかける。
しかしそれをゾロに指さされ遮られた。
「ホラ見ろ!!!平気でこんな格好してる女が可愛いか!?嫁になれるか!!?」
ゾロに遮られ指さされたアスカは怪訝としており、ナミがそれに目をやればアスカの姿は橋で奪った海軍の上着羽織り、ボタンを付けいても戦いでボロボロになったその服は結構際どい服になっていた。
それでもアスカは羞恥も何もない顔で立ってゾロを怪訝と見ていた。
そんなアスカを見てナミは…
「あらアスカ、ダメじゃない…風引くわ。ちょっと鼻ップ、マント貸しなさいよ!」
アスカの格好を咎めるのではなく…風邪をひくからと咎めた。
傍にいたウソップにマントを要求すると、ウソップはナミに逆らわない方がいいと素直にナミにマントを渡した。
「………………」
話をすり替えられたゾロは、ナミの変わり身の早さにもはや怒る気にもならず溜め息をつく。
「ねェ探しても誰も居なかったけど…それって変じゃない?」
アスカはナミにスカートのようにマントを巻かれ、先ほどゾロに遮られた言葉を口にする。
見て回っていたアスカは部屋という部屋全てを見て回っても本当に影一つ見つからず、そんなアスカの報告に『そりゃヘンだ』とサンジが首を傾げた。
「確かにおれ達を呼ぶ声は聞こえたんだけどな…」
「そうなのかい?」
「呼ばれたのは確かよ」
「だからおめェら言ってんだろ!あれはメリー号の声なんだよ!」
「えー!?本当か!!?」
動けないためチョッパーに乗りながら移動しているルフィはメリーに声をかける。
しかし船が返事するわけもなく、やはり無言だった。
すると前から大きな船がこちらに向かって来るのをルフィが発見する。
「ん?前から船が来るぞ!!!」
「何だ!?誰だ!!?」
「ガレーラカンパニーの船だ……!!」
目の前に現れたのは大きな船にのるガレーラの船大工達。
その中にはアイスバーグも立っていた。
「すげェ!!高潮の海へ飛び出したのに信じられん!!」
「あのエニエス・ロビーから帰ってきやがった!!」
「アイスのおっさん!!!」
「バカバーグ」
手を振る大工達にルフィも満面の笑みを浮かべて手を振り返す。
アイスバーグは無表情にルフィ達を見つめていたが、ふと笑みを浮かべる。
「とんでもねェ奴らだ…世界政府相手に…本当に何もかも奪い返してきやがった…!」
ガレーラの船に向かってメリーを進めていたが、突然メリーの船体が折れてしまう。
「わっ!!」
「メリー!!」
それにはルフィ達もガレーラ達も目を丸くする。
「おい何だ!!どうしたんだ!?急に…メリー号が!!!」
「急にも何も…!!これが当然じゃねェのか!?」
「そうかもね。」
「え…」
サンジの言葉をアスカが手すりに捕まり立ち上がって体勢を整えながら頷く。
サンジが座って下に落ちないようにしながら言葉を続ける。
「メリーはもう二度と走れねェと断定された船だ…忘れたわけじゃねェだろ…」
「……!!でも…」
ルフィはサンジの言葉に思い出したのか焦り始め、アイスバーグへ振り返る。
「おっさんやべェ!!メリーがやべェよ!!何とかしてくれ!!お前ら…!!ちょうどよかった!!みんな船大工だろ!!頼むから何とかしてくれよ!!ずっっと一緒に旅してきた仲間なんだよ!!さっきも!!こいつに救われたばっかりだ…!!」
「だったらもう、眠らせてやれ…」
「!!?」
「すでにやれるだけの手は尽くした…」
アイスバーグの言葉にルフィもナミもゾロもサンジもウソップもチョッパーもアスカも黙ってしまう。
「おれは今…奇跡を見ている…もう…限界なんかとうに超えてる船の奇跡を…」
「………!!」
「―――長年船大工をやっているが……おれはこんなにすごい海賊船を見た事がない…見事な生き様だった」
ルフィはその言葉を聞き目を瞑り…そして、重く頷いた。
「…わかった」
ルフィの返事を聞きアスカ達はメリーとの別れを決意する。
そして小船に乗り、壊れかけているメリーをアスカは黙って見上げる。
「じゃ、いいか?みんな……」
「ああ…」
ルフィが火をつけるため、アスカ達とは少し小さい小船に乗り松明を手にする。
「メリー、海底は暗くて淋しいからおれ達が見届ける!!」
そう言ってルフィはボロボロのメリーの船体に松明の炎を灯す。
炎を灯しながらルフィはポツリと呟いた。
「ウソップは…いなくてよかったかもな……あいつがこんなの…たえられるわけがねェ…」
「どう思う?」
「…………」
ルフィの呟きにゾロはそげキングを横目で見る。
そげキングは少し間を置いたがゆっくり口を開いた。
「そんな事ないさ…決別の時は来る…男の別れだ…涙の1つもあってはいけない…彼にも覚悟はできている……」
「……………」
ウソップの言葉にアスカは黙って目を瞑り、強い眼差しでメリーを見つめる。
その先には燃え上がるメリー号がアスカの瞳に映る。
仲間が燃えるその姿は見てられないほど辛いが、だからこそアスカは目を逸らさないと決めた。
「長い間…おれ達を乗せてくれてありがとう、メリー号…」
ルフィをそう呟いたその時、空から雪のようなものが降ってくる。
それをナミがその雪を手に乗せると今までのメリーとの思い出が蘇る。
メリーと初めて会った事。
海賊旗と帆をメリーにつけた事。
大砲を始めて撃った事。
メリーを傷つけた事…
メリーとの思い出は沢山。
その思い出全てがルフィ達にとって大切で何事にも代えられないもの。
≪ごめんね≫
「え…」
その思い出に浸っていると、突然誰かの声が響いた。
≪――もっとみんなを遠くまで運んであげたかった……ごめんね…ずっと一緒に冒険したかった…≫
「メリー!?」
その声は不思議とメリーからだとルフィ達は分かり、みんな涙を流す。
特にそげキングは仮面の下から大量の涙が流れ、立っていた。
「ごめんっつーなら!!おれ達の方だぞメリー!!!おれ舵ヘタだからよー!お前を氷山にぶつけたりよー!!帆も破ったことあるしよーー!!!ゾロもサンジもアホだから色んなモン壊すしよ!!そのたんびウソップが直すんだけどヘタクソでよォ!!ごめんっつーんなら…っ」
ルフィの言葉にメリーは嬉しそうに続けた。
≪だけどぼくは幸せだった
今まで大切にしてくれて…どうもありがとう
ぼくは本当に幸せだった≫
メリーは広がる炎に包まれながら海へと沈んでいく。
アスカはサンジ、ゾロと同じく涙を見せず最後までメリーを見届ける。
しかし…その手は何かを我慢するようにグッと握られていた。
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