(203 / 293) ラビットガール (203)

「ヨホホホホ!!ハイどうもみなさん!ごきげんよう!!!私この度この船でご厄介になる事になりました!"死んで骨だけ"ブルックです!!どうぞよろしく!」

「「「ふざけんな!!何だコイツは!!!」」」

「ヨホホホ!おやおや手厳シィーーー!!!」


ブルックの登場にゾロ、フランキー、ウソップは声をあげ、チョッパーは気絶寸前。
ロビンは相変わらず無表情だがアスカは期待した骨の訪問に目を輝かしていた。


「よくやった!ルフィ!!」

「いや〜!」

「「「褒めるな!照れるな!!!」」」


願いが叶い、アスカはルフィに親指を立てて褒め称える。
ルフィが褒められて照れるがゾロ達に突っ込まれる。
するとアスカとロビンに気付いたブルックは、二人に近づき…


「おや美しいお嬢さんがお2人も……パンツ見せて貰ってよろしいですか?」

「やめんかセクハラガイコツ!!」

「え?パンツははいてnむぐっ」

「……………」


ブルックはナミに靴を投げられ、アスカは言い切る前にロビンに口を塞がれる。
そんな女性陣を余所にゾロはブルックを指差す。


「おい!ルフィ!!こいつは何だ!!」

「面白ェだろ?仲間にした!」

「したじゃねェよ!!認めるか!!!おめェらは一体何の為についてったんだ!?こういうルフィの暴走を止める為だろうが!!」

「「面目ねェ…」」

「ヨホホホ!まあそう熱くならずに!!どうぞ船内へ!!夕食にしましょう!!!」

「てめェが決めんな!!!!」


珍しくゾロが突っ込みに入り一味は仕方なくキッチンへ向かった。
キッチンに入り、ブルックは席につき部屋を見渡す。
アスカはルフィの正面に座って骸骨を観察していた。


「いやいや!何と素敵なダイニング!!そしてキッチン!!これは素晴らしい船ですね!!ヨホホホ!!」

「そうさ!スーパーなおれが造った船だ!おめェなかなか見る目あるじゃねェか!!」

「オイ…馴れ合うなフランキー」


両手を高く上げ、褒めるブルックに船大工のフランキーが嬉しそうに笑う。
その後ろにはサンジが馴れ合うフランキーに呆れながら料理していた。


「しかし…お料理の方楽しみですね…私ここ何十年もろくな物食していないので…もう お腹の皮と背中の皮がくっつく様な苦しみに耐えながら毎日を生きて来たのです……お腹の皮も背中の皮もガイコツだからないんですけども!!!ヨホホホ!!スカルジョーク!!!」


ブルックのそのスカルジョークはルフィだけに受け、他は無言だった。
するとブルックはソワソワしだし落ち着きがなくなっていく。


「私紳士ですので"食事を待つ"…そんな何げな一時が大好きで………ディーーナ〜〜アッ♪ディーーーナ〜〜アッ♪」

「メーシ!メーシ!!」

「うるせェ!!黙って待ってろ!!!」

「料理長!ドリンクは牛乳でお願いしますよ!!」


紳士だと言っていたくせにブルックはフォークとナイフで机を叩きルフィと共に騒ぎ、そして二人はサンジに怒られてしまった。


「ところでコロボックル」

「あ、ブルックです私…えーと……あ、お名前まだ…」

「おれはルフィだ!ところでお前一体何なんだ?」

「どんだけ互いを知らねェんだお前ら!!!」

「さァガイコツを追い出すのは後回しだ!ひとまず食え!!」


今頃自己紹介しているとサンジがテーブルに夕食を運び、ひとまず食事にすることになる。







「"ヨミヨミの実"…やっぱり"悪魔の実"か…」


ブルックはなぜ白骨して動いているかを食事をした後ゆっくりと話し出す。
アスカはあらかた観察し飽きたのか、大人しくなり表情も戻る。


「そうなのです…私実は数十年前一度死んだのです……」

「まず顔を拭けよ…どう食ったらそんなに汚れるんだ……」


ブルックは顔だけではなく服まで汚れていた。
サンジに言われた通りに汚れを落としながらブルックは続きを爪楊枝で歯を綺麗にしながら話しはじめる。


「ヨミヨミの実とは"ヨミがえる"……つまり『復活人間』というわけで…二度の人生を約束される何とも不思議な能力でしてね…私その昔海賊だったのですが……あ、失礼…ゲップ!!……私の乗っていたさっきの船で仲間達と共にこの"魔の海"へ乗り込んで来たのですが……あ、失礼…プッ!!」

「てめェにマナーってもんをたたき込んでやりてェ…」

「運悪く…恐ろしく強い同業者に出くわし戦闘で一味は全滅…当然私もその時死んでしまったのです!!……生きてる間はただカナヅチになるだけのヨミヨミの能力でしたがついにその日実の能力が発動しました…私の『魂』は"黄泉の国"より現世に舞い戻ったのです!!すぐに自分の死体に入れば蘇れる筈が私の死んだこの海はごらんの様に霧が深く迷ってしまい霧の中…魂の姿でさ迷い続けること一年!!自分の体を発見した時にはなんとすでに"白骨化"していたのです!!びっくりして目が点になりましたよ!目玉ないんですけども!!ヨホホホ!!!」

「マヌケだなー!ゾロみてェな奴だな!!なはは!」

「あのな…」


ブルックの説明にルフィは可笑しそうに笑う。


「それで喋るガイコツの完成か…白骨でもちゃんと蘇っちまうところが"悪魔の実"の恐ろしい所だな…」

「もう半分呪いじゃねェのか。その"実"はもう役目を果たしてカナヅチだけ残ってんだろ?」

「しかし白骨死体にふつう毛は残らねェよな…ガイコツがアフロって…」

「毛根強かったんです」


きっぱりと言い切ったブルックにゾロはもう突っ込もうとは思わないのか、何か言いかけて諦めた。


「じゃ、お前オバケじゃねェんだな!?つまり! 人間なのか!?人間じゃねェけど!!」

「ええ、私オバケ大嫌いですから…そんなものの姿見たら泣き叫びますよ?私…」

「あんた鏡見た事あるの?」

「ギャーーーーーーー!!!!やめてください鏡は…!!」


ウソップの言葉に強く頷いたブルックにナミは呆れたように手鏡を向けるが、ブルックはものすごく嫌がる。
嫌がるブルックをチョッパーとウソップが押さえ、鏡を見させようとするが2人は目を丸くする。


「え…おい…ちょっと待て!!…お前何で……!!鏡に映らねェんだ!?」


鏡にはウソップとチョッパーしか映っておらず、ブルックは映っていなかった。
ルフィ、ゾロ、ロビン、アスカ以外は驚愕し席を立ちブルックから離れる。
するとウソップはブルックの足元にあるはずの"影"もないことに気付き、驚きは耐えない。
ゾロが睨みつける中、ブルックはゆっくりと席に着き紅茶を優雅に飲む。


「いや落ちつくとこかよ!!」

「こっちは騒いでんだぞ!お前のことで!!」


サンジとウソップに突っ込まれつつブルックはゆっくりと呟いた。


「全てを一気に語るには…私がこの海を漂った時間はあまりに長い年月…私がガイコツである事と…影がない事とは全く別のお話なのです…」

「………………」

「…続く」

「話せ!今っ!!」


ハー、と寛いでいるブルックにサンジはまた突っ込みを入れ、ブルックは続きを話し始める


「"影"は…数年前ある男に…奪われました」

「…"影"を……?」

「お前が動いて喋ってる以上、今更何言おうと驚かねェが…そんな事があんのか」

「あります"影"を奪われるという事は光ある世界で存在できなくなるという事で…"直射日光"を浴びると私の体は消滅してしまうのです!!…同じ目に遭った誰かが太陽の下消えていく所を目のあたりにしました…!!それはもう身の毛もよだつ光景でした、ガイコツなのに…"光"で地面に映るハズの"影"がない様に鏡や写真などに私の姿が写る事もありません!!つまり私は光に拒まれる存在で仲間は全滅!!"死んで骨だけ"ブルックです!!どうぞよろしく!!ヨホホホ!!!」

「何で明るいんだよ!!さんざんだな!お前の人生…!」

「なのに"コツコツ"生きてきました!!骨だけに!!」

「「うるせェよ!!!」」


ブルックはテンションを上げ、立ち上がり笑い始める。
突然壊れたように笑うブルックにウソップは十字架を向け、ビクビクと震えさせながらブルックに声をかける。


「おいおい、どうした?大丈夫か?」

「今日はなんて素敵な日でしょう!!人に逢えた!!」

「!」

「今日か明日か…日の変わり目もわからないこの霧の深い暗い海でたった一人舵のきかない大きな船にただ揺られてさ迷うこと数十年!!!…私本っっ当に淋しかったんですよ!!淋しくて!怖くて!…死にたかった!!長生きはするものですね!人は"喜び"!!私にとってあなた達は"喜び"です!!!ヨホホホ!!涙さえ枯れていなければ泣いて喜びたい所!!」


ブルックの言葉にチョッパーとアスカが反応する。
1人の怖さを1番に理解できるのはチョッパーだけだが、1人になるのを怖がるアスカもまた理解できるのかもしれない。
ブルックは両手を上げて喜んだ後、ルフィに腰を少し折って目線を近づかせる。


「あなたが私を仲間に誘ってくれましたね!!本当に嬉しかったのです!どうもありがとう……だけど本当は断らなければ…」

「何でだよ…!」


えー!?、とブルックのまさかの断りの言葉にルフィは驚いて見せる。


「先程も話した様に私は"影"を奪われ太陽の下では生きていけない体!今はこの魔の海の霧に守られているのです…あなた方と一緒にこの海を出ても私の体が消滅するのも時間の問題…私はここに残って"影"を取り返せる奇跡の日を待つ事にします!ヨホホホ!!」

「何言ってんだよ!水くせェ!!だったらおれが取り返してやるよ!そういや誰かに取られたっつったな…誰だ!?」

「………!!」

「どこにいるんだ!?」


ルフィの申し出にブルックは言葉を失った。


「…あなた本当にいい人ですね…驚いた!!…――しかしそれは言えません!さっき会ったばかりのあなた達に"私の為に死んでくれ"なんて言えるハズもない!」

「敵が強すぎるって事か?減るもんじゃなし…名前を言うくらいいいだろ?」

「いいえ、言えません。…当てもないのです!ヨホホホ!!私の第二の人生が終わるまでに会えるかどうかもわかりません…もし、次会った時にはと…私も戦いをハラに決めていますが…」


フランキーの言葉に決して頷かないブルックは持ってきたバイオリンを取り出す。


「それより歌を歌いましょう!!今日のよき出会いの為に私は楽器が自慢なのです!!海賊船では"音楽家"をやってました!!」

「えーーーーーっ!!本当かァ!?頼むから仲間に入れよバカヤロー!!」

「ヨホホ!では楽しい舟唄を一曲いきましょうか!!…!ギャアァアアァア!!!!」


念願の音楽家を見つけルフィは仲間になれと再びねだるがやはり頷かず、バイオリンを構えたその時ブルックは悲鳴をあげて腰を抜かした。


「おい!何だ!?どうした!!?」

「うわーーー!!何かいるーーー!!!」

「ゴ…!ゴースト〜〜〜!!!」

「あ、かわいい…」


腰を抜かすブルックの目線の先を辿っていくと、そこには半透明のゴーストが壁を抜けてやってきた。
そのゴーストはすぐ姿を消すが、驚いていると突然船が揺れだす。


「何の振動だ!?」

「何て事!まさかこの船はもう『監視下』にあったのか!!?」


ブルックが慌てたように外に出て振り返る。


「見て下さい!前方が門で閉ざされました!!今の振動はコレです!!これは門の裏側!!…という事は!!船の後方を見て下さい!!!」

「………!!」


そこには、いつの間に現れた一つの島が姿を現す。
さっきまでなかった島にみんな目を丸くする。


「…もしやあなた方…『流し樽』を海で拾ったなんて事は?」

「あ…!!拾ったぞ!!!」

「それが罠なのです…この船はその時から狙われていたのです!!」

「狙うって!?どういう意味だ!?この船は今ずっとここに停まってたのに…何で"島"がそこにあるんだよ!!」


「これは海をさ迷う"ゴースト島"…!!『スリラーバーク』!!!」

203 / 293
| top | back |
しおりを挟む