エースが赤犬に貫かれ、戦場は騒然とする。
「エースがやられたァ〜〜!!!!」
「赤犬を止めろォ〜〜〜〜!!!」
海賊たちがバズーカで赤犬を止めようとするも自然系の赤犬に効かなかった。
「だめだ!全然止められねェ!!」
「まだ息はありそうじゃのう…」
瀕死のエースを見て赤犬はマグマをエースへと再び向ける。
だがジンベエに止められてしまった。
「つまらん時間稼ぎはよせジンベエ…元七武海だ……わしの力は充分に知っとろうが…」
「この身を削って…時間稼ぎになるなら結構!!もとより命などくれてやるハラじゃい!!!」
ジンベエだけではなく、マルコ達もエースを守ろうと赤犬の前に立ちはだかる。
ルフィはエースに駆け寄り、ルフィにエースはもたれるように倒れる。
アスカは座りこんだまま涙を溜めてエースを見ていた。
「ごめんなァ…ルフィ…アスカ……」
「…エース!急いで手当て…」
「ちゃんと助けて貰えなくてよ…すまなかった……」
「何言ってんだ!!バカな事言うな!!誰か手当てしてくれ!エースを助けてくれェ!!!」
「急げ船医!応急処置を!!!」
「ああ!!」
船医が向かうがエースは首を振る。
自分の体の異変くらい分かっていた。
「無駄だ!ハァ…自分の命の終わりくらいわかる…!」
「……エース…」
「内蔵を焼かれたんだ…!…ゼェ…もうも゙たねェ………!だから…聞けよルフィ…アスカ!!」
「!……何言ってんだ…エース死ぬのか!?い…約束したじゃねェかよ!!ハァ…ハァ…お前絶対死なねェって…!!言ったじゃねェかよォ!!!エ−スゥ〜〜〜〜!!!」
「エース…っ」
ルフィの言葉にアスカは我慢できず涙が溢れ、あふれ出た涙がポロポロと地面を濡らしていく。
泣きだす二人にエースは力なく笑い、懐かしい顔を思い浮かべる。
それは幼い頃に死に別れたサボの姿だった。
「そうだな…サボの件と…お前らみてェな世話のやける弟と妹がいなきゃおれは…生きようとも…思わなかった…そうだ…お前らいつか…ダダンに会ったら…よろしく言っといてくれよ…何だか…死ぬとわかったら…あんな奴でも懐かしい…」
「…………!!!」
「心残りは……三つある…お前の"夢の果て"を見れねェ事と…アスカとの約束、を…守れねェこと…それに姉貴に謝ってねェことだ……海賊に…なったことは後悔はねェ…だけど…今回の事で…姉貴に辛い思いをさせちまったこと…それだけは後悔してるんだ…だからさ…お前ら…姉貴と会ったら…おれの代わりに謝っておいてくれよ…」
「そんなの…!エース…!!お前が謝れよ!!おれ…嫌だよ!姉ちゃんに怒られるのも…!!エースの代わりに謝るのもさ!!だから…っ!!そんなこと…言うなよ!!」
海賊になって、エースは後悔していない。
自分で決めた道を悔やむことはしていないが…ただ、ミコトに関しては申し訳なく思っていた。
ミコトだけではなく、ガープにも。
海軍である姉が弟の処刑を傍で見送ることがどれほど辛いのか…エースは獄中の中そればかり考えていた。
ガープは会いに来たが、ミコトは一度も会いには来なかった。
それがミコトの心中を察することができる。
弟である自分たちに弱い部分を見せたことのない人だからきっと一人で泣いて海軍と弟とのはざまで苦しんでいたのだろう。
一言だけでも、謝りたかった…エースは薄れていく意識の中そう思う。
ルフィの声にエースはふと笑う。
「………ルフィ…お前は海賊王に、なりたがってたな…それをおれはもう…見れないが……きっとお前なら必ずやれる……!おれの弟だ……!!昔…誓い合った通り…おれの人生には…悔いはない!」
「ウソだ!ウソつけ!!!」
「ウソじゃねェ……!おれが本当に欲しかったものは…どうやら"名声"なんかじゃなかったんだ……おれは"生まれてきてもよかったのか"…欲しかったのは…その答えだった……」
エースはそう伝えたい事を弟に伝え、ゆっくりと顔をアスカへ向ける。
アスカは泣きだしており、それが幼い頃最初で最後のアスカと大喧嘩した時と重なって見えてしまい、エースは懐かしさに目を細める。
弟や妹、そして姉を思えば死ぬのを覚悟しても…やはり死にたくなかった。
「アスカ…来てくれ……」
「エース…」
エースは震える手をアスカへ伸ばす。
アスカは手を伸ばされ、名前を呼ばれ膝をついたままエースに近づいて手を取る。
その手はまだ温かいけど段々と体温が落ちてきているようにも感じた。
だから余計にアスカの金色の瞳から涙があふれ出てしまい、泣きじゃくる妹に苦笑いを浮かべた。
「泣くなよ…アスカ…」
「む、りだよっ!むり…」
「泣き虫なのはあの時と変わってねェな……アスカ…おれ、天竜人からお前を守るって言ったのに…守れなくてごめんな……」
「エースっ…いいよ、いいの!だから死なないで!死んだら私怒るからっ!!」
「はは…それは恐いな……お前を怒らせるとサボもおれもルフィも勝てねェからなァ……」
ギュッと手を握るアスカにエースは愛しそうに見つめ、力を振り絞ってエースもアスカの手を握り返す。
すでにエースの耳には周りの音が聞こえなくなってきていた。
「ハァ…もう…大声も出ねェ………ルフィ…アスカ…おれがこれから言う言葉を……お前ら後からみんなに…伝えてくれ」
「……!」
「オヤジ……みんな……そしてルフィ…アスカ…姉貴……今日までこんなどうしようもねェおれを………鬼の血を引くこのおれを……愛してくれて………ありがとう!!」
エースは涙を流した後、笑顔を浮かべ……息絶える。
ルフィは地面に倒れた兄の姿を見て座ったまま気を失い、アスカは涙で地面を濡らす。
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