白ひげが死に、黒ひげが白ひげの能力を得たそのころ、アスカはジンベエの後ろに必死についていっていた。
「ルフィ君…!しっかりせェよ…!!生きにゃいかんぞ!!エースさんがもうおらぬこの世界を…明日も明後日も!!!」
「…………っ」
ジンベエの言葉にエースが死んだ姿が頭に浮かび、涙を溜める。
しかし下唇を噛み、涙を流すのを我慢して逃げることに集中する。
その間でも逃げる海賊達を仕留めようと海軍が砲弾を飛ばす。
「お前さん…しっっかり!生きにゃあいかんぞ!!」
それでも気を失い死ぬか生きるかの瀬戸際のルフィにジンベエは声をかけ、ルフィを死なせないように必死だった。
「ジンベエ!エースの妹!!こっちへ乗れ!!!」
「おう!!アスカ君!しっかりついてくるんじゃぞ!!」
「うん!」
海賊が船の上から手を振り、ジンベエはそっちへと足を向ける。
後ろについて来るアスカを心配そうに見つめつつ声をかけ、アスカも頷いて船へと走る。
しかし…
「しまった!海を凍らされた!!!」
「急いで何とかしろ!出航できねェ!!」
「"青キジ"を抑えろォ!!!」
青雉によって海は一瞬にして凍らされてしまった。
船へと向ける足を止めずにいると床の氷がビキビキと亀裂が走らせ、ジンベエの前にマグマと共に赤犬が現れる。
「わしが『逃がさん』言うたら…もう生きる事ァ諦めんかい…バカタレが……」
「赤犬!?くたばってなかったのか!!」
「地下を溶かして回り込んで来たんだ!!」
赤犬はジンベエの腕に抱き上げられているルフィとその後ろに海賊に庇われてるアスカを見下ろす。
「そのドラゴンの息子と赤髪の娘をこっちへ渡せ……ジンベエ!!」
「そりゃあできん相談じゃ!わしはこの男達を命に代えても守ると決めとる!!!」
「じゃあもう…二度と頼まんわい……!」
ジンベエの言葉に赤犬は手を上げる。
「エースの弟と妹を守れェ!!エースの家族はおれ達の家族だァ!!!」
「おどきィジンベエ〜〜〜!!!」
「!」
「麦わらボーイとバニーガールに手出しはさせナ〜〜ブル!!!」
2人を守ろうと海賊達が武器を構える。
その時、背後からイワンコフが現れ、ヘル・ウインクを赤犬に放った。
「イナズマさん!イワ様ァ〜〜〜〜っ!!!」
しかし2人は赤犬に倒され、ニューカマー達が駆け寄る。
ニューカマー達が赤犬へ攻撃するがマグマには効かず、赤犬は隙を突いて走り出したジンベエ達を追う。
「ジンベエ…渡さんかいドラゴンの息子と赤髪の娘をォ…!」
「ハァ…ハァ…海へ出ればわしの土俵じゃ!逃げきれる!!アスカ君!」
能力者のアスカを抱き上げ、ジンベエは海へと飛び込む。
しかし、そこは海ではなく一面凍らされていた。
「……!…しまった……!!氷か!」
「すまんねジンベエ…」
離れた場所で海賊に囲まれている青雉が飛び込んだジンベエに小さく呟く。
ジンベエは海賊達の悲鳴に赤犬が来たのだと気付く。
「来たか!アスカ君!しっかり掴まっとれよ!」
「う、うん!」
アスカを抱いていた腕を離し、
アスカは落ちないようにジンベエに抱きつく。
だが赤犬に拳を向けるも避けられてしまい、赤犬はジンベエの体を貫いて二人へ攻撃してきた。
「あ"ぁっ!!」
アスカは熱さと痛みにジンベエから手を離し、氷に落下してしまう。
「ジンベエを貫通してエースの弟と妹を!!」
「命あんのか!?」
「邪魔しよるのうジンベエ!」
「ウ…!ルフィ君……すまん!更なる傷を負わせた…!……アスカ君も無事か!?」
「なん、とか……」
起き上がるアスカだが横腹を少し焼かれたのか服を破られ煙を立っていた。
「おどれ人の心配しちょる場合かァ……!貴様が邪魔でちょっと外したかのう…心臓を貫けば楽じゃったろうに…なァジンベエ……胸の抉れたそいつをまだ守るんか……直死ぬぞ」
ジンベエ達に近づいたその時、砂の刃が赤犬を斬る。
「ん……!」
「クロコダイル!!」
「"サーブルス"!!!」
「オォ!?」
「わっ!!」
赤犬の後ろにはクロコダイルが立っていた。
そのままクロコダイルはサーブルスで砂嵐を起こし、ジンベエとルフィとアスカを吹き飛ばす。
「誰か受け取ってさっさと船に乗せちまえ!!!」
「お…!おう!!」
クロコダイルの言葉に海賊達は我に返り、ジンベエは困惑する。
「クロコ…ダイル……!」
「守りてェもんはしっかり守りやがれ!!これ以上こいつらの思い通りにさせんじゃねェよ!」
「…!……アスカ君!手を伸ばすんじゃ!!」
ジンベエはクロコダイルの言葉に表情を引き締め、近くに飛ぶアスカに手を伸ばす。
ジンベエに手を伸ばされたアスカはその手を握ろうと必死に手を伸ばす。
「どわー!!何か飛んできたァ!!」
「え!?空で止まった!!」
「ええ〜〜〜〜!!!?」
アスカがジンベエの手を取り抱き寄せたその時、誰かがジンベエを受け止め3人は宙に浮く。
3人を追っていた海賊達は急に止まったように見え、目を丸くする。
「キャプテン・バギー!!」
「麦わらとジンベエとウサギを助けた!!」
「あ!?」
「……!…あんた逃げると見せかけて脱獄の同志麦わらを助けるなんて!!」
「尊いよォ〜〜〜〜!!!!」
「アンタ尊くて!眩しいよォ〜〜〜!!!」
囚人達のバギーへの思いは深まるばかりだが、バギーはその囚人達に今持っている物の正体に気付く。
「は!!うおーーっ!ジンベエに麦わらにウサギィ!!どういう経緯で血塗れで空を飛んで来やがったんだお前ら!!」
驚く暇もなくマグマがバギーを襲う。
「ギャーーーーーーー!!!マグマ〜〜!!」
「すまん"赤鼻"のォ…助かった…しかしルフィ君に深手を…負わせてしもうた…すぐに手当てを……!!」
「ジンベエも怪我がひどいよ…!」
「何だか知らねェうるせェよ!助けて欲しいのはおれだバカ野郎!!手当てなんかこんな所で…だれが赤っ鼻じゃクラァ!!」
シンベエを連れ、マグマの届かない場所へ飛ぶ。
「揃いも揃って……あの麦わら小僧らの為に命落としたいんか」
赤犬は邪魔をしてくるクロコダイルと白ひげ海賊達を睨みつける。
「おれ達は全員……あいつの持つ底知れねェ信念と力を目の当たりにした…」
「エースが守り…オヤジが認めた男達をおれ達は新しい時代へ送ってやる義務がある!!!」
「お前らともあろう者が…大層じゃのう!"白ひげ海賊団"!!」
「赤犬…!お前が今殺しておきたいと思うあいつの"危険度"とおれ達が生かしてやりたいと思う大層な"期待値"は同じじゃねェのかよい!!」
「もはや言葉で治まるモンじゃありゃあせんのう…好きにせい!!」
赤犬と海賊達がぶつかり合う。
「オイ!ジンベエ!お前気ィ失ってねェか!?お前コレどこ行きゃいいんだよ!!」
「ど、こか…船に降ろして…っ」
「船って言ったっておめェ…!」
気を失っているジンベエの代わりにアスカが答えるが回りに動ける船はない。
すると凍り付いていない海から潜水艦が姿を現す。
「あのマーク…」
「麦わら屋達をこっちへ乗せろ!!」
「ム・ギ・ワラヤ〜〜〜!!?あァ!!?てめェ誰だ小僧!!」
ジンベエの腕からその潜水艦の海賊マークに見覚えがあり、目を丸くする。
潜水艦からルフィとアスカと同じルーキーであるトラファルガー・ローが出てきた。
「麦わら屋とはいずれは敵だが悪縁も縁!こんな所で死なれてもつまらねェ!!そいつをここから逃がす!一旦おれに預けろ!!おれは医者だ!!!」
ローの登場は海兵達も驚きを見せていた。
「トラファルガー・ローです!"北の海"のルーキー!先日シャボンディ諸島"天竜人の一件"にて取り逃がした"麦わらのルフィ"と共犯の海賊!!潜水艦で救援に来た模様っ!」
その報告にどうしてだ、と周りの海兵達は騒然とする。
「だからどこの馬の骨だってんだ!」
「急げ!三人共だ!こっちへ乗せろ!!」
ローの登場に海兵達は素早く軍艦をロー達へと向け、大砲を撃ってくる。
本部でも地下から海兵達が"白ひげ""黒ひげ"、両海賊団を討伐するため襲い掛かってくる。
海賊たちが構えたその時、地面が大きく揺れる。
「ゼハハハハハハハ!!何て痛快な能力だ……!」
黒ひげがグラグラの能力で地面という地面を揺るがす。
海も津波があちこちに発生し、シャボンディ諸島は津波の恐怖に戦争を見ていた住民達は混乱に陥る。
「まだまだコントロールがうまく行かねェな……!」
「おォい船長!無茶やるとおれ達の足場もなくなるぞ!!」
「どうだ仏のセンゴク!英雄ガープ!おれを止められるかァ!"白ひげ"と共に…おめェらの時代も終わったんだよォ!!」
黒ひげの言葉にセンゴクは睨みつける。
その間にも戦場は激しさを増すばかり。
海軍が勝ったとしても海兵達は止まらず海賊たちを追い詰める。
「おいコビー!どうしたんだよお前!!」
「ハァ…ハァ…わかんない……!!悲しい…………!」
「悲しいだァ〜〜〜!?」
その中でコビーは頭を抱えだし、吐く。
「頭の中から…"声"が…一つ…一つ…消えてくんだ…!!」
「はァ!?」
コビーの言葉にメルヘッポは訳分からず声を上げる。
「しっかりしろ!まだ助かる!手当てを…」
「捨て置けェ!まだ戦闘中だぞ!!」
仲間を解放しても捨て置いて戦わなければならない。
それをたしぎもスモーカーも異常だと眉をひそめる。
そんな中、黄猿が一瞬にして軍艦の帆に乗り光線をバギーに向け、バギーの襟に小さな穴が開く。
「置いてきなよォ〜〜…"麦わらのォルフィ"と"冷酷ウサギ"をさ〜〜…!」
「よしっ!任せたぞ"馬の骨"共〜〜!!!」
黄猿が表れ即効ロー達へジンベエ達を投げ、その場から立ち去る。
「受け取れ!ジャンバール!!」
「わっ…!」
「よし!それでいいんだ!!」
落ちてくるジンベエ達にベポがジャンバールに命じてジャンバールはキャッチする。
急な衝撃にアスカは驚いたように声をあげ、ベポは子分が出来て嬉しいのか張り切り、ジャンバールがジンベエをキャッチすると両手で親指を立てて褒める。
「海へ潜るぞ!」
「シャボンディじゃあ…よくも逃げてくれたねェ〜…トラファルガー・ロー〜〜〜!!」
「うわァ!ひどい傷だよ!!生きてるかな!急ご…!」
「ルフィ…!!」
「"麦わらのルフィ"〜"冷酷ウサギのアスカ"〜"死の外科医"ロ〜…!」
ベポに運ばれるルフィについていこうとしたアスカだったが海兵の1人の声が戦場に響き足を止める。
「そこまでだァア〜〜〜〜〜!!!!!」
「!…この声……!!」
聞き覚えのある声にアスカは振り返り手すりにかけよる。
「もうやめましょうよ!!!」
戦場にウサギを出現させ目を瞑りウサギの目を通じ、その場を見る。
そこには無謀にも赤犬の前に立ち塞がるコビーがいた。
「もうこれ以上戦うの!やめましょうよ!!」
「……………」
「命がも゙ったいだいっ!!!目的はもう果たしてるのに…!戦意のない海賊を追いかけ…!!止められる戦いに欲をかいて…!!今手当てすれば助かる兵士を見捨てて…!その上にまだ犠牲者を増やすなんて!今から倒れていく兵士達は……!まるで!!…………バカじゃないですか!!?」
「…!……あァ!?」
「あのバカ…!!」
力の差も何もかもありすぎる大将と一介の海兵。
赤犬に倒されて終わりだと誰もが分かる状況にアスカはコビーに呟く。
こんな時ミコトがいたら、と思うがミコトの姿は見えず、手すりを握る手を強める。
「誰じゃい貴様ァ…!……"数秒"…無駄にした……正しくもない兵は海軍にゃいらん…!!」
赤犬はコビーを睨み、マグマの腕をコビーに向けた。
「!…コビー!!!」
誰もが死んだ、と思ったその時…
「え…………」
赤犬とコビーの間に誰かが入り、赤犬の拳を止めていた。
アスカはその人物を見て目を丸くする。
「よくやった…若い海兵…お前が命を懸けて生み出した"勇気ある数秒"は…良くか悪くか…たった今世界の運命を大きく変えた!」
「パパ…ッ」
赤犬からコビーを助けたのはアスカの父親でもあり四皇の1人でもある赤髪のシャンクス。
シャンクスは剣で赤犬の拳を止めた。
「……………」
黄猿はルフィ達からシャンクスへ標的を変え、指先を光らすが…
「何もするな"黄猿"!」
「おォ〜っとっとォ…ベン・ベックマン〜〜…!」
「ベン!!」
「よ、アスカ…大きくなったな」
黄猿を止めたのは副船長、ベンだった。
ベンは帆に乗り黄猿に銃を向ける。
そしてアスカに手を挙げ、笑顔を向けてくれた。
「再会して早々悪いが早く逃げな」
「うん…ありがとう!」
昔となにも変わらない優しさにアスカは目じりが熱くなるが今は喜んでいる場合でもないので潜水艦は出航する。
しかしローとアスカが外にいるため海の中にはいけない。
「娘を助けに来たのか…!?…今頃なんで"四皇"が出てくるんだ…!!」
シャンクスは剣を鞘に収めながら麦わら帽子に気付き、手に取る。
「この戦争を終わらせに来た!」
そうシャンクスは戦場を見渡し、はっきりと答える。
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