騒然とする中、シャンクスは一匹のウサギを見つけ、抱き上げる。
「久しぶりだな…アスカ…」
「キュー…」
そのウサギが娘の能力であることに気付いていたシャンクスは優しげな声で話し掛ける。
ウサギからは鳴き声しか聞こえないが娘が自分を呼んでいるというのをシャンクスは分かっていた。
「随分見ないうちに綺麗になった…ミコトに似たんじゃないか?」
「キュー!」
「はは!そう照れるな!本当だぞ?」
「きゅ…」
「……来るのが遅くなってすまない…お前を抱きしめることが出来ない事を許してくれ」
「……キュ…」
返事をするウサギにシャンクスは目を細める。
「アスカ、お前は昔も今もおれの自慢の娘だ……ルフィを頼むぞ…」
「キュ!」
ウサギは元気よく返事した後消えていく。
完全に消えたのを確認してシャンクスは上に居るバギーへ麦わら帽子を投げつける。
「バギー!!」
「ん!?」
「そいつをルフィに!!」
「"麦わら"!?」
「お前にあげたい宝の地図があるんだが…」
「ホントかオイ!待ってろ今届ける!!」
さすがシャンクス、バギーの扱いが上手い。
バギーは急いで潜水艦の元へ急いだ。
「お頭ァ、10年振りのルフィとアスカだぞ?一目見ておかねェのか?」
「一目…会いてェなァ…」
ルーの言葉にシャンクスは懐かしそうに目を細める。
「だが…今会ったら………約束が違うもんな…ルフィ…」
シャンクスはルフィと娘に背中を向け、海軍を見渡す。
「キャプテン!アスカ!"四皇"珍しいけど早く扉閉めて!!」
「ああ…」
「あ、待って!何か飛んで来る!!」
「!」
ベポがローとアスカに声をかけるがアスカ何かに気付きベポは顔を上げる。
バギーが麦わらを投げ、それをアスカをキャッチする。
「!…これルフィの…」
「アスカ、行くぞ」
「うん…」
麦わらのツバをギュッと握りローに急かされアスカはチラリと父親を見てすぐに潜水艦へと姿を消す。
「おどれ"赤髪"…ドラゴンの息子を…!!」
赤犬は娘とルフィを逃がしたシャンクスを睨み、青雉はすかさず"アイスエイジ"で海面を凍らせる。
潜水艦はギリギリ避ける事は出来たが次に出たのは黄猿だった。
「しまった………まだやる気があったか…」
飛び上がる黄猿を見上げ、ベンは眉を潜める。
黄猿は"八尺瓊勾玉"で潜水艦に当てようと撃ち続ける。
「うわああああ〜〜っ!当たる〜〜!!!」
「全速力だ!海底へ!!!」
運良く潜水艦は当たる事はないが急いで海底へ潜り始める。
「くそ…最後の最後まで!!」
「……当たってねェだろうな……!」
「エースの弟ォ〜!妹ォ〜!!ジンベエ!!」
大将の攻撃にハラハラしてしまう海賊達。
黄猿は帆に着地し、何の反応のない海を見下ろす。
「これでまだ生きてたらァ…あいつら運が良かったんだと諦めるしかないねェ〜〜〜…」
「……………」
青雉はチラリとミコトが居るであろう半分崩壊している本部を横目で見つめ、海を見下ろした。
「…ルフィ、大丈夫だよね……」
「アスカ…」
手術室へ向かうローにアスカは不安気に声をかける。
「………お願い…ルフィとジンベエを助けて…」
「……………」
麦わら帽子を持つアスカを見つめ、ローは無言で頭を撫でる。
「……………」
手術室の扉が閉められるのを見てアスカは壁にもたれかかり座り込む。
ギュッと麦わら帽子を胸に抱き顔を埋め、その手は震えていた。
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