(5 / 21) 頂上戦争 (5)

白ひげの登場に皆、息を飲む。


「グラララララ…」

「こうも急接近されるとは…」


失態に眉を潜めていたが白ひげが腕を降り、両脇の大気にヒビを入れる。


「何だ!?大気にヒビ!!?」


大気にヒビが入ったことに驚く中、海や陸が歪みだす。
そして白ひげが大気にヒビを入れた両方の海が大きな音を立てて高く盛り上がる。


「何だあの爆発!!」

「まずいぞ!あの水面の高さ…!!」

「海震!!」


海は大きくなり見上げるのが困難になるほどになっていく。
そんな中エースは助けに来た白ひげに俯く。


「…オヤジ………みんな………おれはみんなの忠告を無視して飛び出したのに何で見捨ててくれなかったんだよォ!!おれの身勝手でこうなっちまったのに………!!」

「いや…おれは行けと言ったハズだぜ…息子よ」


白ひげの言葉にエースは顔を上げる。


「ウソつけ……!バカ言ってんじゃねェよ!!あんたがあの時止めたのにおれは…」

「おれは行けと言った…そうだろ?マルコ」

「ああ、おれも聞いてたよい!とんだ苦労かけちまったなァ…エース!!この海じゃ誰でも知ってるハズだ…おれ達の仲間に手を出せば一体どうなるかって事くらいなァ!!」

「お前を傷つけた奴ァ!誰一人生かしちゃおかねェぞ!エース!!」

「待ってろ!今助けるぞオオオ!!!!」

「覚悟しろ海軍本部ーーーー!!!」

「……………!!」


仲間のその言葉にエースは言葉を失った。
そんな白ひげ達を見て青雉は眉を潜める。


「とんでもねェモン呼び寄せたなァ…」

「何を今更言うちょるんじゃあ」

「気味が悪いねェ〜〜…」

「ふふっ」


青雉の言葉に赤犬が溜息をつき、黄猿は静かに呟いてミコトはただ笑っていた。
すると重く響く地鳴りがマリンフォードに響く。


「何だこの地鳴りは…!!」

「そら来たぞい!さっきあいつが仕掛けた"海震"が…"津波"に変わってやって来る…!!"グラグラの実"の『地震人間』"白ひげ"エドワード・ニューゲート!!!!」

「勢力で上回ろうが勝ちとタカをくくるなよ!!最期を迎えるのは我々かも知れんのだ…………!あの男は世界を滅ぼす力を持っているんだ!!!!」


白ひげが起こした津波が左右に立ち上がりマリージョアに襲い掛かろうとしていた。
しかし、その津波は突如ピタリと止まった。
それに海兵達も海軍達も周りを見渡し目を丸くしながら首を傾げる。


「オヤジが起こした津波が止まった!?」

「どういうことだ…!!?」

「…………」


息子達の驚きの声を聞きながら白ひげはまっすぐ海軍大将の席に座っているミコトを笑いながら睨みつける。
ミコトも指を鳴らしたそのままで微笑を浮かべながら白ひげを見つめる。


「クザンさん、あと3秒です」

「十分だ」


ミコトが津波の時間を止めた後青雉が白ひげの前まで飛んで向かった。


「青キジィ…!若僧が……!!」

「"パルチザン"」

「させるか!」


青雉は槍のようなものを氷で作り、白ひげに飛ばすが白ひげの前に現れた男の斬撃に防がれ、その斬撃に己の体にヒビが入り砕けて海へと落下する。
しかし落下した瞬間止まっていた津波ごと青雉が凍らせ復活する。


「っ!!!」


その男を見たミコトは目を丸くし、立ち上がった。


「湾内も全て氷に!!」

「艦の動きを封じられた!」

「砲撃ィイ!!モビーディックを破壊しろォ!!」


凍りつき、動けなくなった白ひげの船を海軍は砲弾を打ち続ける。
そんな事に焦らず海賊達は足場が出来たと次々と降り立つ。


「隊長達も出て来たぞ!!砲撃を休めるなァ!!!」

「ぐひゃひゃひゃひゃひゃ!氷づけの海とは気が利いてる!!」

「気持ちが燃えたぎって暑苦しかったとこだ!撃ち込めェーっ!!!


海賊達も負けじと砲弾を海軍へと撃つも砲弾が届く前に真っ二つに切られてしまった。


「そう簡単にはいかねェか!『海軍本部』の中将達だァ!!」

「中将殿がこんなに揃うのはまず見れねェ!ガガガガ!」

「"バスターコール"もまッ青だな!」


目の前には中将が立ち並ぶ。


「おつるさんアンタ下がってなよ!」

「洒落臭い事言うんじゃないよ、ひよこ共!海の果てまで下がっても安全な場所なんてありゃしないよ!」

「!」

「薙ぎ倒して湾内へ進めェ〜〜〜っ!!!」


海軍達も海賊達も戦い始め、戦争が始まった。
その戦いを高みの見物をしていたミコトだったが、白ひげの傍に"ある男"の姿を発見し、椅子から立ち上がり、飛刀を取り出してそのまま白ひげのところまで飛んで行った。


「…全く…あいつらは…」

「似たもの同士だよねェ〜…あの二人」


青雉に続きミコトまでもが持ち場を離れ赤犬は溜息をつき、黄猿は愉快そうに笑う。
ミコトはそんな二人をよそに目的の人物へとたどり着く。
その人物とは…


「黒蝶…!!?」

「………お前等は下がってろ」


ミコトの襲来に、男は剣を抜く仲間達を下がらせ宙に浮き己を見下ろすミコトを見上げた。


「あらコテツではなくって?ごきげんよう。」

「白々しい…!よくその顔を見せにこれたな!!」

「あらやだ…挨拶もろくにできなくって?白ひげの躾はどうなっているのかしら…でもまァ…海賊に成り下がったお前なら…分からなくもないけれど」


白ひげの船に来た以来のコテツにミコトは目を細め笑う。
その笑みはいつも見せる優し気な笑みではなく、嘲笑めいていた。
困ったようにつぶやけばコテツはカッとなり声を上げる。


「あんたがおれをそうさせたんだろ…おれを利用するだけ利用して捨てたあんたが悪い!だからおれは海賊を利用し逃げたんだ!!!」

「利用されるあなたが悪いのではなくて?」

「………てめ…っ!」


コテツは元海兵だった。
まだ大将ではなく、しかし軍艦を持っていた頃のミコトの部下だった。
コテツは隊をたらい回しにされてるほどの問題児だった。
だからミコトは傾世元禳けいせいげんじょうを使って操り"使ってあげた"のだ。
それが意外と意思が強かったのかコテツは途中で脱走したがミコトに捕まりインペルダウンへ連行途中に船が沈没し行方不明になっていた。
それがまさか白ひげの船に乗り海賊になっていたとは思ってもみなかったミコトはあの時の再会するとは思ってもみなかったのだ。
嘲笑を浮かべるミコトにコテツは拳を握り締める。
フン、と鼻で笑っていると突然白ひげがグラグラの能力でミコトを襲い掛かる。


「!」


それを傾世元禳で防御し、白ひげを見下ろす。
まだ白ひげは本気になっていないのか傾世元禳が破られることはないが、いつもはどんな攻撃を受けてもミコトには振動もなにも伝わらないはずなのに…白ひげの攻撃はミコトの肌にはビリビリと衝撃が伝わった。
それを見る限り、白ひげの力が凄いのだと感じざるを得なかった。


「グラララ!やっかいな能力を持ってやがるな!小娘!!」

「オヤジ!これはおれの戦いだ!!手を出さないでくれ!!!」

「バカ言うな。息子をバカにされて見てるだけの親なんているか」

「…オヤジ……」

「………………」


ミコトはビリビリと響く見えない膜を見つめた後白ひげとコテツへと目線を戻す。
漫画で見た通り懐に入れた息子を心から愛する白ひげにミコトは目を細め、ミコトは持っていた飛刀を消して代わりに広範囲に攻撃を当てることができる禁鞭に代え、思いっきり振りかざす。
派手な音をさせ2人を襲うが白ひげが能力を使い跳ね返した。
しかし当然ながらミコトには傾世元禳があり、両者ともに無傷で終わる。
白ひげの強さに息をつく暇もなくコテツが飛び上がりミコトを斬りかかろうとする。
素早く禁鞭を飛刀に戻しコテツの剣を受け止めながらミコトはコテツと共に地面に叩きつけられてしまった。


「黒蝶さん!!!?」


下で戦っていた海兵たちに当たることなく、ミコトはコテツと共に地面に落ちた。
海兵たちは突然落ちてきた海軍大将に驚きの声を零したが、砂埃から出てきたのはコテツだった。
コテツは腹を蹴られたのか押さえ体勢を整えながら砂埃の中を睨みつける。
すると砂埃を切るようにミコトが姿を現す。
それに海兵たちはホッと息をつく。







ミコトがコテツに押され、船の下で戦っているその時、鷹の目が背中の剣を抜く。


「フフフッ!何だやんのかお前…」

「推し量るだけだ…近く見えるあの男と我々の本当の距離を…」


ドフラミンゴにそう静かに呟き鷹の目は斬撃を白ひげに向けた。


「ウオオオ〜!!!」

「!」


しかし鷹の目の斬撃は白ひげに届く事はなかった。


「止めた!!世界一の斬撃を!!!」

「………」


船の前で鷹の目の斬撃を止めたのは3番隊隊長、"ダイヤモンド"・ジョズだった。
その名の通り体をダイヤモンドにさせたジョズはその強度な体で斬撃をとめた。
しかし、休む暇もなく海軍たちの攻撃は止む事はない。
今度は黄猿が白ひげの前に現れ、"八尺の曲玉"を放つ。


「オイオイ…眩しいじゃねェか…」


その眩しさに白ひげは目を細めるが、やはり黄猿の攻撃は止められる。


「大将の攻撃を防いだ!!」

「何だ!?青い炎をまとってるぞ……!!」


大将の攻撃を防いだその人物に目を丸くする。


「いきなり"キング"は取れねェだろうよい」

「コワイねェ〜〜…"白ひげ海賊団"」


自分の攻撃を防いだ1番隊隊長マルコに黄猿はそう呟いてマルコに攻撃を向けた。
しかしマルコの体を通り過ぎ傷1つ負わせることはなかった。


「何だあの体は!?黄猿さんの攻撃を正面から受けて……倒れねェ……!!やっぱり噂通りの能力を…!?」

「"ロギア"よりさらに希少…ゾオン系『幻獣種』!!」

「効くよい」

「ウソをつけ〜〜」


不敵に笑うマルコに黄猿は目を細める。
マルコは不死鳥に姿を変え黄猿に向かって飛んでいく。


「いかなる攻撃を受けても炎と共に再生する…あれが1番隊隊長…!"不死鳥マルコ"!!!」

「こんな鳥は見た事がないねェ〜〜…!!」


向かってくるマルコに黄猿は光線を何度も向けるが穴が開くだけで本人にダメージは受けていなかった。
すると羽以外を元にもどしたマルコが上から蹴り付け、それに黄猿は手でガードする。


「ん〜〜これは効くねェ〜〜〜」

「ウソつけ!!」


力に任せてマルコは黄猿を地面に叩きつける。


「黄猿さ……あ…」


近くに居た海兵達が心配するも黄猿は何食わぬ顔で歩いて現れ、巨人達を見上げる。


「巨人部隊!空も注意しなよォー!!」

「「「はっ!!!」」」


黄猿の言葉に巨人達は剣を握りなおす。


「でけェの来るぞ!!」

「お前ら下がってろォ!!!」

「ジョズ!」


ジョズは仲間にそう声をかけ、仲間は下がった後に下に張ってあった氷を掴み持ち上げて海兵達へ投げる。


「何て腕力!!!」

「ウオオオオオオオオオ!!!!!」


巨大な氷塊が降ってきて慌てる海兵達だったが、唯一座っていた赤犬が立ち上がり片腕をマグマへと変える。


「まったく…わしらが出払ったら誰がここを守るんじゃァ」

「赤犬さん!!」


"大噴火"で氷塊を一瞬にしてとかし、そのまま火山弾を海賊達へ落下させる。
無数の火山弾に受けきれず、船が一隻燃えてしまった。
そして飛んで来た火山弾を白ひげは慌てることなく持っていた薙刀で串刺しにして止める。


「派手に点火しやがって………誕生ケーキにでも灯してやがれ!マグマ小僧」

「フフフ…派手な葬式はキライか?白ひげ」


赤犬は白ひげの言葉に笑いをもらす。


「撃て撃て休むなァ!!!」

「ひるむな!!広場へ踏み込め!!!」

「隊長達を止めろォーーーーーーっ!!!!!」

「陸に上げるな!モビーディックを落とし!白ひげを討ち取れェー!!!!」


戦いは激しくなっていく。
大砲の音、人の声、肉を斬る音、剣と剣の叩きあう音…
そんな音を聞きながらエースは自分のために命をかけて戦う仲間達に顔を俯かせる。
俯く事で自然と下の方に目線がいき、丁度そこには仲間であるコテツと姉であるミコトの戦いが繰り広げられていた。


「姉貴……コテツ…」


姉の怒りのような表情にエースは後ろに繋がれている手を握り締める。
ミコトは飛刀を手に仲間の中で随一と言われる強さを持つコテツ相手に一歩も引かずお互い攻防戦を繰り広げ、周りにいる海兵達は手も足も出れない状態になっていた。


「………姉貴…」

「……………」


エースの呟きにセンゴクもミコトを見つめ、そして俯くエースへ目をやる。
ミコトとコテツの戦いに目を逸らしていると軍艦が炎と煙を立てて崩れていくのにエースは顔を上げる。


「行けェ!!リトルオーズJr.!!!軍艦の方陣を破れェ!!」

「"国引きオーズ"の子孫だね…」

「これはでかい!巨人族の常識を越えてる……!!」

「エースぐんは優じいんだ!絶だいに死なぜねェ!!オオオオオオ〜〜!!!」

「湾内への侵入を許すな!!奴らの突破口になるぞ!」


オーズの登場にエースは目を丸くした。

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