(7 / 21) 頂上戦争 (7)

「オーズの開いた道を閉ざすな!!湾内へ進めェ!!!!」


雄たけびを上げながら海賊たちは湾内へ入っていく。
すると三日月型の湾頭を破壊しながら1隻の船が突破していく。


「"氷の魔女"ホワイティベイだ!!!」

「お手のモンだよこんな氷塊!」

「まぁ、本当に…」

「!!」

「流石は"氷の魔女"の船ですのね…」

「黒蝶……っ!!?」


ベイの目の前には海軍大将、黒蝶が見下ろしていた。


「黒蝶!!?じゃあ!コテツは……、…ッ!!!?」


マルコがミコトを見て戦ってたであろう先へ見るとコテツがうつぶせで倒れていた。


「コテツ…!!!」


コテツを救出しようとするも傍に居た部下達がマルコを抑え、押し倒す。


「な…なにすんだい!!!?」

「やめな!お前達!!」

「!」


うつろな目で押さえつけるその力は信じられないほど強く、身動き1つ出来なかった。
ベイの声に目をやるとベイも部下達に押さえつけられ、他の仲間達も同じ状況だった。


「なにが起きてるんだ!!」

「"誘惑の術テンプテーション"」

「!!?」

「この方たちはすでにわたくしの意のままに動く操り人形とでもいいましょうか…」

「な、に…!?」


ミコトはマルコの前に降り立ち困惑気味のマルコに応える。
指を鳴らした瞬間、ベイやマルコの他にジョズやビスタ達なども周りの仲間達に捕まっていき、誰もが戸惑い仲間に正気に戻れと声を上げ、斬られて死んでいく。
正気を失った者もいるが中には保っている者もおり、その者たちは仲間を襲い掛かろうとする仲間から庇ったり、豹変した仲間に戸惑いながらもマルコ達から離れさせようと必死に引っ張るが人の力なのかと疑う程ビクともしない。
その海賊達を見てミコトは面白おかしく高笑いを上げ、白ひげは高笑いをするミコトを睨みつける。


「黒蝶…何をした……!!」

「ふふふ!!……ですから"テンプテーション"と申し上げたはず……」

「"テンプテーション"…?」


白ひげの問いにミコトは嫌がる素振りも見せず応える。


「わたくしのこの羽衣から出る匂いを嗅いだ者達は老若男女関係なくわたくしの意のままに操れるというモノ……お分かりになって?」


ミコトは白ひげの目の前に移動し、目を合わせれるようにと宙を舞う。
白ひげはコテンと小首を傾げて見せるミコトの言葉に眉を潜める。


「…だったら何故マルコたちは操れない……?」

「それは簡単です…より意思の強い方達なのでしょう……これでも結構香りを強く出していますのよ?…でもあの方たちはそれをも凌ぐ強い意志の持ち主…感服しますわ」


敵に褒められてもうれしくはないマルコ達はギッとミコトを睨む。
その睨みにミコトはより一層笑みを深め、海賊たちを同じ海賊達に殺させるという狂気を見せ、ミコトは両手を挙げて声を張る。


「さあさあ!!!白ひげの皆様!!!捕まっている中でどう敵と戦うか!どう仲間と戦うか!!どう情けなく逃げ惑うか!!わたくしに見せてくださいな!!」


ミコトもこれは狂気だと分かっている。
だがミコトは海兵として生きることを選んだ身。
ミコトはこの戦場での甘さは捨てることにした。
ふふふ、と笑いを浮かべ傾世元禳で口元を隠し、操る海賊達を動かしていく。
白ひげの息子達は海兵の他にも背中を預けることができる仲間達とも戦わなくてはならず、戸惑う仲間たちの悲痛な叫び声が白ひげの耳に届き、白ひげはグッと薙刀を握る手を強める。
勿論、白ひげの反応も腸が煮えくり返るような怒りも察しているミコトだったが、必死に抵抗しながら命を消していく海賊達を見て目を細めるだけ。
すると白ひげが持っていた薙刀の後ろの部分を思いっきり音を立て、船に叩きつける。
その音はマリージョアの全てに響き渡り、辺りは静まり返った。


「あ、あれ……おれァ一体…」

「マルコ?なんでお前倒れてんだ?」

「なんでって……どういうことだよい……」

「ふふ…あっははははは!!!!!」

「!!!」


その音と共に操られていた海賊達全てが我に返り、掴んでいた手を離す。
何も覚えていない仲間達にマルコも困惑しているとミコトが突然笑い出した。


「ははは…!!!…まさか刀一本でテンプテーションを破られるとは…!流石白ひげ!!…エースが惚れただけの事がありますわね…」

「………おめェエースの姉だろ?…エースからよく弟と妹と一緒に聞かされたもんだ…『おれの姉はすげェー!』ってな……」

「そう…」

「……………」


笑っていたミコトだったが白ひげの言葉を聞き、悲しげな笑みに変わる。
その変化に白ひげは目を細めた。


「オヤジ!」


自由になったマルコが白ひげの横に移動するも白ひげに下がらせられる。


「おれァ…エースの姉だからって容赦はしねェつもりだが……」

「……わたくしはあなたに感謝しております…父親のことで苦しんでいたあの子を息子として受け入れてくれて愛してくれたあなた達を……でも…ここは戦場…海軍と海賊の殺し合い……気遣いは無用ですわ…」

「そうか…」

「オヤジ、おれが…」

「いい。おれが相手する…マルコ、おめェはエースの救出に向かえ」

「だが…!」

「おれの言う事が聞けねェってーのか?」

「…わかったよい……!」


白ひげに言われて渋々船を降りるマルコだったが降りる前にミコトを睨みつけるのを忘れなかった。
そんなマルコを見てミコトは笑みを深める。


「ふふ!愛されているのですね」

「ああ、みんなおれの自慢の息子だからな…」

「あらあら、惚気ですの?」

「グラララ!そうとも言うな!!」


惚気られたミコトは笑みを深めながら飛刀を握る。
すると周りの海兵達が電伝虫を手に何かを聞いているのに気付き、白ひげはセンゴクへ目をやる。


「…グラララ!何か企みやがったな……!!智将"仏のセンゴク"………!」


何か作戦を移そうとするセンゴクに目を細めるとミコトが視界を遮る。


「よそ見はしないでくださいな…今お相手をしているのはおじ様ではなく、わたくしでしょう?」

「そうだったな、すまねェ……あまりにもてめェが美人だからじっと見ていられなくてなァ…この歳になるとお前さんみたいな美女は心臓に悪いんだよ」

「まあ…お上手です事」

「だが…まぁ…だからと手を抜く気はねェぞ…敵は敵だ」

「あら奇遇ですこと…わたくしもご老体だからと手を抜く気はありませんわ」

「言うじゃねェか……」


白ひげはミコトの言葉に機嫌よく笑う。
そしてお互い笑みを深め、刀を降りかざそうとしたどの時、


「あああああああああああああ……」

「!」

「なんだ…上か…?」


頭上から声がして顔を上げると…



「あああああああ…あ!!おれゴムだから大丈夫だ!!!!」

「貴様一人で助かる気カネ!!何とかするガネ〜!!!」

「そうだな!アスカ!掴まれ!!」

「うん」

「だからなんでそうなるんだガネーーーー!!!私達も助けろと言っとるんだガネ!!!!」

「てめェの提案なんて聞くんじゃなかったぜ麦わらァ!!畜生ォ!!!」

「こんな死に方ヤダッチャブル!!誰か止めて〜〜〜〜〜〜〜ンナ!!!!」



ルフィ達が落ちてきていた。

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